英語の習得で得られるものとは? イギリス在住・元国連職員のめいろまさんに聞きました

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日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験があり、現在はイギリス人の夫と小学1年生の息子さんとイギリスに在住している著述家、谷本真由美さん。著書やSNSで「英語を習得することはコスパがいい」と発信されているその理由について、詳しく教えてもらいました。

この記事のポイント

英語の習得はそんなに大変でないわりには、得られるものが多い

——英語を勉強すること、英語を習得することはコスパがいいと仰っていますが、その理由を教えてください。

英語を習得するとコスパがいいというのは、英語は汎用性が高いスキルだからです。たとえば、製造業、技術開発、マーケティング部門、経理、人事、法務、総務など、英語ができる人がいると助かりますから、英語ができれば、大人になってどこの業界に行っても、需要があります。製薬、IT、交通、航空、医療といった、海外とのやりとりが多い業界では、より需要が高まります。さらに日本には、英語ができる人があまりいないという現状があります。ビジネスレベルで要件定義が完璧に書けるとか、海外の法令を完全に読みこなして海外の当局の要請に沿った申請書を書けるとか、海外のシェアフォルダーのミーティングに出て自社の業績低迷を説得できるとか、そこまでできる人は本当に少ないのです。

そこまでできるレベルになれば、どこの業界・会社でも来てくださいと言われますし、給料がぐんと上がりますし、雇用の安定性も確保できます。また、自分で事業を興す場合も、海外の人とのやりとりができれば海外への販路が広がって、稼ぐ範囲が大きく広がります。そんなに大変な勉強でないわりには、得られるものが多いので、英語ができるということはコスパが高いのです。

しかも、日本ではお金をかけないで英語を勉強できる環境が相当整っています。海外には、日本のように教材は豊富にありませんし、値段も高いです。また、内容のレベルも非常に高く、子どものうちからコツコツコツコツ勉強すれば、相当な英語力が身に付くと思います。NHKラジオの講座や放送大学もありますし、さまざまなオンライン講座もありますし、書店に行けば大量に英語の教材があり、安く購入することができます。

子どもには向き不向きがある。親が固執せずに適性があることを探して

写真は本棚で遊んでいる、息子のみにろまくん(愛称)1歳のころの様子。

——コツコツ勉強すれば、子どもはある程度みんな英語ができるようになるのでしょうか。

基本的にはそうだと思います。ただ、なかには語学の勉強に向かないタイプの子もいます。英語の勉強が嫌でしょうがない、向いていなさそうという子どもには、親が固執せずに本人が向いていること、適性に合っていることを探したほうがいいのではないかと思います。みんなが勉強に向いているわけではありませんし、手に職系の才能がある子、体を動かして働くことに向いている子など、人によって適性や好き嫌いがあるのは当たり前で、適性があることをやるのが私は一番よいと思います。

私も親として、子どもではなく親が諦めきれないという気持ちもよくわかります。どうしても自分の理想を押し付けてしまいがちになるのですが、私の人生ではなく息子の人生ですから。「向かないことを押し付けてはいけない」と、自分に言い聞かせ、5歩くらい引いて見なければ、と思っています。

『世界のニュースを日本人は何も知らない』はコロナ禍以降にいろいろな感想が

——最後に谷本さんの著書、『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズについて伺います。シリーズ累計30万部を突破したベストセラーですが、実際に本を読んだかたからの「こんな海外事情は知らなかった」という声や反響はありましたか?

コロナ禍になり、とくに2巻以降はいろいろな感想をいただくようになりました。あとは、テレビの時事ニュースやバラエティ番組に飽きてしまったり、内容が薄く感じたりして、この本を読んでみたら面白かった、と言ってくれたかたも多いようです。子育てをしているかたからは、子どもは将来どんな仕事をしたらいいのか、海外留学させたいけれどどうしたらいいですか? という質問があったり、年配のかたは、お孫さんの将来の仕事や社会保障について心配されていたり、ということもあります。

——次回、書いてみたいと考えていることはありますか?

これは完全に趣味なので、なかなか作業できる時間がないのですが、漫画を描いてみたいですね。時事ネタとかではなく、ゆるい日常系の4コマ漫画を描いていつか出せたらいいな、と思っています。

まとめ & 実践 TIPS

英語は汎用性の高いスキルで、将来仕事をする時もさまざまな業界で需要があります。日本は英語を勉強できる環境が整っているので、子どものうちからコツコツと勉強を続ければ、相当な英語力が身に付くはず。ただし、子どもには向き不向きもあります。「本人が向かないことを押し付けるのはやめよう」と意識して、5歩くらい下がって子どもを見ることが大切だと思います。

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取材・文/本間勇気

プロフィール

谷本真由美

谷本真由美

1975年神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院国際関係論修士、情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関情報専門官、外資系金融機関などを経て、現在はロンドンに住む。Twitterで@May_Roma(めいろま)として知られる。近著に『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズ(ワニブックス)、『日本人が知らない世界標準の働き方』(PHP研究所)、『みにろま君とサバイバル 世界の子どもと教育の実態を日本人は何も知らない』(集英社)など。

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