「本や新聞を読むこと」の大切さを伝えていないと子どもは読書をしなくなる?
ベネッセ教育総合研究所などの調査データによると、子どもの読書習慣は保護者のかたの学習姿勢や家庭での働きかけと密接に関係していることが分かります。
この記事のポイント
「親の背中」と対話が育む、子どもの読書習慣
保護者のかたが自身の能力向上のために勉強をしていたり、日頃から「本や新聞を読むことの大切さ」を伝えていたりする家庭では、子どもの「読書時間ゼロ」の割合が低くなる傾向にあります。
<保護者の学びの機会別の子どもの読書時間(2024年)>
対照的に、読書の大切さを伝えていない保護者のかたの子どもは、67.9%がまったく本を読まないという結果も出ており、大人の意識が子どもの習慣に直結している現状が浮き彫りになっています。
<読書の大切さを伝える機会別の子どもの読書時間(2024年)>
1日10分からでも親子で読書の時間を
デジタル機器が普及し、AIの活用が日常化しつつある今、知らず知らずのうちに思考や判断をスマートフォン任せにしてしまいがちな時代です。だからこそ、保護者自身がスマートフォンの世界に没頭しすぎず、知的な活動に関心を持ち、ものごとに主体的に取り組む姿勢を見せる「手本」となることが重要です。
まずは「今日から10分だけ一緒に本を開く」ことから始めてみるのはいかがでしょうか。親子で一緒に読書する時間を作り、「言葉の面白さ」や「本を読む楽しさ」について語り合うといったちょっとした工夫が、子どもの思考力や語彙(ごい)力を育む土台となります。
読書習慣の形成は幼少期からの積み重ねが鍵といわれます。家庭のみならず、学校や地域の図書館など、子どもの目に触れる場所に本がある環境を活用することは、子どもたちの健やかな成長と学びを支えることにつながります。読書をはじめとする知的活動を社会全体の文化として大切にし、大人と子どもが共に豊かな学びの時間を積み重ねていくことが、これからの時代を生き抜く力を育む一助となります。お子さまが社会に出たとき、必要な情報を選び取り、自ら意味を読み解いて判断できる力を養うためにも、まずは家庭内で主体的な学びの姿勢を共有することから始めてみてはいかがでしょうか。
専門家からのアドバイス「読書を取り巻く環境づくりが必要」

秋田喜代美
学習院大学教授
東京大学名誉教授
家庭では保護者のかたもあまり読書をしておらず、子どもと保護者が同型の構造にあるとみることができます。全国学力・学習状況調査(令和7年度)でも、約3割の小6生が読書を「全くしない」と回答しています。この意味で、学校や地域が子どもたちの読書習慣の形成に大きな役割を担っていくことの重要性を指摘できます。学校では、総合的な学習の時間の充実や情報活用能力の育成が重視されるようになっています。授業の中で紙や電子の書籍に触れる機会を増やすこと、読書のための帯時間を設定することが必要でしょう。ご家庭では、小学校入学前の読み聞かせが小学校以降の読書につながっていきます。家庭、学校、地域が一体となって子どもの目に触れるところに魅力的な本がある環境づくりをしていくことが大事です。
<調査データ出典>
・「⼦どもの⽣活と学びに関する親⼦調査」(東京⼤学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所による共同実施)
・「語彙⼒・読解⼒調査」(東京⼤学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所による共同実施)
・⼩学⽣から⾼校⽣の 10 年にわたる追跡調査データから「読書」を読み解く(https://benesse.jp/berd/special/childedu/pdf/newsLetter/newsLetter_20251020.pdf)

