九九がもっと好きになる!親子で楽しく覚えるアイデア4選

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九九がもっと好きになる! 親子で楽しく覚えるアイデア4選

覚えることが多くて苦手意識を持ちやすい九九。そのため、九九の暗記は単に機械的に暗記させるのでなく、興味・関心を高め、楽しみながら身に付ける方法も取り入れるのがおすすめです。
今回は、「ベネッセ教育総合研究所」顧問を務める八木義弘先生に、おうちのかたや友達と一緒にできる楽しい九九の覚え方についてお話を伺いました。楽しい覚え方で、「九九=大変」から「九九=面白い!」へ変えていきましょう。

この記事のポイント

1.リズムに合わせて、ダンスをしながら

リズムに合わせて、ダンスをしながら

リズムに合わせてダンスをしながら覚えることは、楽しく覚えることに加えて、目や耳、手や体を使うため、さまざまな五感が活用され記憶が定着しやすいといわれています。

「ににんがし(2×2=4)」「にさんがろく(2×3=6)」……と、数字を目で見ながら、音を聞いて、体を動かしたり、ゲームをしたりしながら楽しく覚えてみましょう。

※進研ゼミの教材で九九を歌で覚えるWさんの場合。

2.トランプで九九バトル

トランプで九九バトル

トランプを使ったかけ算ゲームは、家庭でもすぐにできる遊び型の学習です。

〈手順〉
1.トランプから絵札とジョーカーを抜く(1〜9の数字だけ使う)
2.赤と黒に分け、山をつくる
3.赤と黒の山からカードを1枚ずつ取り、2枚同時に出す
4.出した2枚の数字のかけ算をして答えを言う
5.積の大きいほうの人が勝ち(積が同じ場合は、素早く正しい答えを言った人が勝ち)

このようなトランプ遊びで九九を繰り返すことで、九九の答えを「正しく素早く出す」練習ができます。最初は時間がかかっても、回数をこなすうちにテンポが上がり、自信につながるでしょう。(いろいろなトランブを使ったゲームを作り、楽しんでください。)

3.語呂合わせで覚える

語呂合わせで覚える

九九は、日常用語との語呂合わせを作ってみると楽しく覚えられます。
たとえば、
「おっかない獅子がいる!獅子の年は何歳?獅子(シシ)(4×4)は16歳だね」
「この肉何円?肉(二ク)(2×9)は18円!」
「キミの耳は何センチ?耳(3×3)は9センチだよ」
「ゴミが何個ある?。ゴミ(5×3)15個!」
「ここに花は何本ある? ハナ(8×7) 56本」
などがあります。
お子さまと一緒に作ってみてください。自分で作ったものは印象強く記憶されます。数字が現実的に合わなくてもOKです。お子さまと一緒に言葉遊びをしているうちに、きっと苦手な九九暗記の抵抗感も薄れてきますよ。

4.指九九を使ってみる

指九九を使ってみる

指九九(指折りかけ算)とは、両手の指を使ってかけ算の九九を計算する方法です。かける数とかけられる数がともに5以上でないと使用できませんが、指で積が表せ、視覚的に九九の計算ができます。

「7×8」を例としてやり方の手順をご紹介します。

【やり方】
(1)まず、左手の手のひらを顔の方に向けて広げ、左手の親指から1.2.3……と指を折っていき、6.7で小指側から指を伸ばします。そうすると、「7」は薬指と小指の2本が立っている状態になります。
(2)次に、右手の手のひらを顔の方に向けて広げ、左手と同じように親指から指を折り、小指まで折ったら小指から伸ばしていきます。そうすると、「8」は中指、薬指、小指の3本が立っている状態になります。
(3)立っている指は、両手全部で5本。立っている指は1本につき「10」とするルールなので、指5本で「50」です。
(4)折った指は、左手3本、右手2本です。この2つの数字を掛け算します。すると、3×2=6。答えは「6」です。
(5)(3)と(4)で出た数字を足すと7×8の積となります。「50+6=56」となり、答え「56」です。

まずは、お子さまが覚えている九九でチャレンジしてみてください。きっと「なんで答えになっているの!」と、驚きと楽しさが芽生えるはずです。この驚きと楽しさは、九九に対する学習意欲にもつながっていくでしょう。

【保護者のかたへのアンケート結果】九九の暗記を楽しく乗り越えるには?

2025年7月、1812名の保護者のかたを対象にベネッセが実施したアンケート「九九の暗記の乗り越え方は?」の結果をご紹介します。

●乗り越え体験➀「繰り返し練習・反復学習」(43.3%)

・学校で宿題に九九が出た時にその段だけでも完ぺきになるように、宿題のあと、ごはんの後、寝る前に、言ってもらった。 (大阪府の保護者のかた)

・学校教材の九九カードをひたすら繰り返した。タイムを計って記録をカレンダーなどに記入して、記録更新をめざしたりした。(東京都の保護者のかた)

●乗り越え体験②「歌・リズム」(24.7%)

・大きな数のかけ算が大変だったようだが、「チャレンジ」の九九の歌をたくさん歌って覚えていた。(神奈川県の保護者のかた)

・「いんいち」などの言い方に慣れなかったが、コラショの歌で覚えられた! (大阪府の保護者のかた)

●乗り越え体験➂「視覚教材・環境設定」(18.6%)

・お風呂に九九の表を貼って、毎日リズミカルに読んでからあがるようにしていたら、いつの間にか覚えていた。(東京都の保護者のかた)

・なかなか覚えられず、トイレに九九のポスターを貼って、覚えた段から外していくようにしました。(神奈川県の保護者のかた)

●乗り越え体験④「日常生活への組み込み」(6.9%)

・普段の会話の途中に、覚えにくいかけ算を突然質問したりしました。(愛知県の保護者のかた)

・車でお出かけしながら、子どもと私で競争するようにかけ算を言って遊んでいた。よく言えたら途中のコンビニでお菓子を1つ買ってあげた。(茨城県の保護者のかた)

●乗り越え体験⑤「ゲーム・競争形式」(6.4%)

・学校で九九名人をめざそうと、お友達や先生とカードを使って取り組んでいたので、楽しく学べた。(神奈川県の保護者のかた)

・毎日宿題で出ていて、次第にただ言うだけの作業が面倒くさくなっていったため、ランダムに問題を出してくれるアプリなどをやっていた。(岡山県の保護者のかた)

2年生の九九を無事乗り越えた保護者のかたの経験談も、ぜひ参考にしてみてくださいね。

まとめ & 実践 TIPS

九九の暗記は「機械的な暗記」だけでなく、遊びや体の動きを取り入れることで、グンと楽しく、そして身に付きやすくなります。リズムに合わせて踊ったり、トランプを使って遊んだり、語呂合わせで笑いながら覚えたり、指を使って答えを導き出したりと、工夫できる方法はたくさんあります。保護者のかたも一緒に参加して、「できた!」という喜びを共有していただければ、お子さまにとって大きな自信につながりますよ。

編集協力/海田幹子

プロフィール


八木 義弘

公立小学校校長、東京都算数教育研究会会長、公立幼稚園長、大学講師などを経て、現在は株式会社ベネッセコーポレーションの「ベネッセ教育総合研究所」顧問を務める。

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