スマホ時代でも九九は大事?2年生で学ぶ理由とその効果とは?
- かけ算
小学2年生で習う「かけ算九九」。コンピュータやAIの進化が続く昨今、「スマートフォンが身近にあるのに計算力って必要かな?」と思われている保護者のかたもいらっしゃるのではないでしょうか? 実は、かけ算の学習には計算力だけでなく大切な内容があるのです。
今回は、「ベネッセ教育総合研究所」顧問を務める八木義弘先生に、九九を2年生で習う理由とその大切さについてお話を伺いました。
この記事のポイント
どうして九九は2年生で習うの?
九九を小学2年生で習うことは、日本の算数教育において長く続けられてきました。そして小学校で習う四則計算(たし算・ひき算・かけ算・わり算)は、学ぶのに適した学年の順番になっているのです。
1年の「たし算」では「数えたし」をもとにし、より簡単に答えの求められる「たし算」を学びます。例えば「5→6,7,8」で「8」と求めた「数えたし」を、「5+3=8」とたし算でします。同様に「ひき算」は、数え引きをもとにします。
2年生のかけ算は、同じ数を複数回足し続けることを簡略化したもので、たし算の延長線上にある新しい便利で簡単な計算なのです。そしてかけ算九九を暗記します。(例 4+4+4+4+4→4×5 )
3年生で学ぶ「わり算」では、かけ算やひき算を使って計算するため難度が高くなり、学ぶ順番は四則計算の最後になります。計算は、学習したことを土台にして次のレベルアップした学習をして学びを深めていきます。したがって、たし算→ひき算→かけ算→わり算の順番に「易から難へ」と学年が進んでいきます。
この四則計算を学ぶ順序は、小数や分数も整数の場合と同じで、小数のたし算・ひき算は3年生から、分数のたし算・ひき算は4年から学習します。
このように、子どもの発達段階から見ても、九九を2年生で習うのは、納得できるタイミングといえそうです。
九九を習う大切さとは?
計算機はもちろん、スマートフォン、コンピュータの計算機能は無論のこと、AIが進歩し続けている昨今、「九九の徹底した暗記は本当に必要なのか?」「計算練習をして計算力を磨く必要があるのか?」という疑問も出てきています。
諸外国では、計算力よりも「どう解くか」等の思考力に重きを置く傾向があります。日本でも計算力と共に思考力の育成も重視されています。世界的な学力調査でも常に日本は上位の成績です。これも計算力を支えるかけ算九九のおかげかもしれません。計算力がつき計算が楽になると、算数に抵抗感がなくなってきたり、文章題などを解く際に解決の見通しが立ちやすくなったり、買い物など日常 生活面でも役立ち感を持つようになるというメリットがあります。
多くの計算を支えている日本の「かけ算九九」は、覚えやすくなるように工夫されています。「九九を語呂合わせで暗記する」のは日本独自の優れた方法です。たとえば、九九を唱えるとき、答えが1桁の時には「が(例:2×3=6→にさんがろく)」と「が」を付け、答えが2桁になると「が」がありません。このリズムが子どもたちの暗記を助けているのです。
リズミカルに唱え、覚えやすいように工夫されている九九の学びは、計算力がつくだけでなく、問題解決能力や思考力の育成にもつながる価値のある学びなのです。
まとめ & 実践 TIPS
九九を小学2年生で習うことは、たし算・ひき算・かけ算・わり算の学習順序や子どもの発達に適しているため、納得できるタイミングだといえます。日本独自の方法である語呂合わせによる九九の暗記は、計算力だけでなく問題解決力や論理的思考力の基盤づくりにも役立つでしょう。コンピュータやAIが進化した現代でも、九九は大切な役割を果たしているのです。
編集協力/海田幹子
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