高まる「リスキリング」の必要性、子どもとの関係は?

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最近、ニュースなどで「リスキリング」という言葉を目にすることが増えてきました。時代の変化によって生まれる新しい職業や業務に必要なスキル・専門性を獲得することを指します。政府も、この推進を掲げて予算を増やしています。どのような意味で、子どもにどう関係してくるのでしょうか。

この記事のポイント

新たな仕事や業務に対応

リスキリング(Reskilling)は「職業能力の再開発」などとも訳されます。世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で提唱されたのをきっかけに、広まっていきました。岸田首相も昨秋、経済対策の一環としてリスキリングの推進に5年間で1兆円を投じると表明し、注目度が高まっています。
変化が激しく、急速にデジタル化する社会では、これまでにない新しい仕事が次々と生まれたり、従来の仕事であっても進め方が大きく変わってきたりすることが避けられません。各企業でも、従業員に新たなスキルや、より高度な知識を習得してもらう必要が出てきます。それで「リ・スキリング」(再びスキルを習得すること)という考え方が出てきたのです。
特にデジタル技術に関するリスキリングは、ニーズがあります。デジタルデータをもとにした情報収集力や企画力、データサイエンス、デザインなどのスキルなどは、今や特定の専門家に任せるのではなく、より多くの人が身に付けて仕事に生かすことが求められているからです。

リカレント教育との違いは?

学び直しを意味する用語としては、以前から「リカレント(還流)教育」があります。社会人が再び学校等の教育機関で受ける教育を指します。仕事をしながら夜間や週末に大学などに通ったり、通信教育を受けたりするものです。
これに対してリスキリングは、企業が人材戦略の一環として提供する意味合いが強く、大手企業が全社員にDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタルによる変革)の基礎教育を実施するなど、国内でもその動きは活発になってきています。

次の5か年計画でも話題に

2023年度から5か年の次期教育振興基本計画の策定作業を進めている中央教育審議会の部会でも、リスキリングの推進が話題となりました。計画案では、リカレント教育を通じた高度専門人材の育成を提案しています。2023年度文部科学省予算では大学などを活用し、社会人をターゲットとした「学び直し」のプログラムを充実させるために約90億円の予算を計上しました。

まとめ & 実践 TIPS

リスキリングは学校にとって、まだ新しいキーワードです。ただ、今後ますます仕事の在り方や社会が変化することが予測される将来、学校を卒業しても生涯にわたって学び続けなければならないことは間違いありません。「未知の仕事」にも対応できるような力を、子ども時代から培っていくことが求められているのです。

(筆者:長尾 康子)

第210回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2022/1003shoshinhyomei.html

※次期教育振興基本計画の策定に向けた審議経過報告に関する意見募集を実施します
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo17/mext_01322.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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