子どもの「幸せ」につながる読書って?

読書が大切だとはわかっていても、本が苦手という子どもは少なくありません。子どもの読書活動の推進を話し合う文部科学省の有識者会議は、5年ぶりに今後の方向性について話し合っています。ここ数年で社会状況が大きく変化したことを受けて、大人が押し付けるのではなく、楽しさや充実感、誰もが読みやすい環境などをつくる視点も大切だとしています。

この記事のポイント

コロナで読書の機会や意欲が減る

読書環境の充実は、年々図られています。小学4年生から高校3年生が5月の1か月間に読んだ本の平均冊数は、2018年度で小学生が9.8冊、中学生が4.3冊、高校生が1.3冊でしたが、2022年度は小学生13.2冊、中学生4.7冊、高校生1.6冊と増加しています。
新型コロナウイルス感染症の影響も無視できません。1か月に本を1冊も読まない子どもの割合(不読率)は2019年度に34.4%だったのが、21年度には38.5%に上昇しました。この時期は、感染拡大防止のために学校が一斉休業をした時期と重なります。自宅学習が難しい小学校低学年や、中学や高校に進学した直後の学年は、読書を習慣付けることが難しかったのでは、と有識者会議のまとめ案は指摘しています。
地域の図書館も、コロナ禍で臨時休館や開館時間の短縮、人数制限などがありました。自然や文化の体験活動の機会が減り、事前・事後の調べ学習などができなくなったことも、読書活動に影響した可能性があるとしています。

読書の楽しさを生涯の幸せに

まとめ案は、3月をめどに第5次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」として閣議決定される予定です。複雑で予測困難な時代に、読解力や想像力、思考力、表現力などを養う読書活動の推進は不可欠だとして、▽不読率の改善▽多様な子どもたちの読書機会の確保▽デジタル社会に対応した読書環境の整備▽子どもの視点に立った読書活動の推進——を考慮すべきだとしています。
特に、読むこと自体の楽しさや、充実感、満足感を子どものころに体験できれば、生涯にわたる学習意欲や、心身ともに幸福な状態である「ウェルビーイング」につながるとしたのは注目されます。

誰もが読める環境づくりがカギに

読書を楽しめるようにするには、多くの子どもたちが自由に本を手に取れる環境が必要です。日本では障害の有無にかかわらず、すべての人が利用しやすい形で読書できることを目指す「読書バリアフリー法」もあります。
まとめ案では、文字を拡大した本や、点字図書、音声で録音した図書、多言語対応などを充実させ、多様な子どもたちの読書機会の確保を求めました。

まとめ & 実践 TIPS

まとめ案は、読書活動が「大人が子どものためにやりたい、効果があると考えることを押し付けるのではなく、(中略)子どもの気持ちに寄り添った取り組みを行うことが望ましい」と、子どもの主体性や意思を尊重することを強調しています。
街から本屋さんが次々と姿を消す中、学校図書館や地域の図書館は、子どもたちが等しく本に触れられる貴重な場です。本を楽しく読める工夫は、学校だけでなく社会の責任でもあるのです。

(筆者:長尾 康子)

※文部科学省 令和4年度子供の読書活動の推進に関する有識者会議(第6回)配布資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/045/giji_list/mext_00009.html

※厚生労働省 視覚障害者等の読書環境の整備(読書バリアフリー)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sanka/bunka_00003.html

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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