暮らしの中にある現代アートを対話型で鑑賞。子どもたちが見つけた直島の魅力とは【直島アート便り】
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直島小学校では、4年生のふるさと学習でベネッセアートサイト直島の展開するアートプロジェクトの一つ、「家プロジェクト」を対象に、地域の歴史や魅力について自ら発見し、学び、発信する取り組みを行っています。
この記事では、今年の直島小学校4年生の活動についてレポートします。
対話型鑑賞で現代アートの鑑賞を身に付けよう。
2022年4月、児童たちは直島で一番歴史の深い地区である本村を訪れ、集落の中で展開している「家プロジェクト」を鑑賞しました。
なかには初めて鑑賞するという児童も多く、ファシリテーターの問いかけやワークシートの質問に答えながら、作品のどこに着目し、どんなことを思ったか、自分の主観を言葉にしていきます。
家プロジェクト「角屋」にて、アートの仕組みに興味を持つ児童
「護王神社」という作品では、「地下にある石室は何をするための部屋だろう?」という質問に対し、「宝物をかくす場所」「おいのりをする部屋」「神様のお風呂」などアイディアがたくさん挙がりました。
「護王神社」の石室を鑑賞する児童
「はいしゃ」では歯医者にまつわるものや、家の中にあるものを見つけて書き留める。
この授業を通じてアートに興味を持ったり、本村についてもっと調べたくなったりするなど、各々の興味関心に合わせて次の学びへのモチベーションに繋がっていました。
児童はそれぞれ、お気に入りの作品を見つけ、次の活動に進みます。
アートと地域の関係について学ぶ。
7月の活動では、作品に詳しいスタッフやガイド経験が豊富な島のかたの案内により、2日かけて各作品・6カ所をまわりました。それぞれの作品にはその場所や空き家などをアートに再生するまでのきっかけや経緯があり、どのように島民と作家が関わりながら作品制作を進めたか、また、作家がどんな地域の魅力に気付きそれを作品に反映したのか、説明を聞きながら学んでいきます。
自分のおすすめポイントを表現する。
これまでの活動を振り返り、児童たちは自分のお気に入りの作品を選択し、特徴的な場面や部分のイラストと、おすすめポイントの解説をワークシートに書いていきます。
好きな作品のおすすめポイントを絵と文字で表現する。
同じ作品を選んだ児童でも、切り取る部分が違っていたり、描く色づかい、表現する手法もさまざまだったりで、個性豊かなワークシートが仕上がりました。
作品ごとにワークシートをまとめる。
マップを完成させて発信しよう
できあがった各作品のおすすめポイントは、マップに仕上げ、直島を訪れたお客様にも知ってもらえるよう、家プロジェクトエリアにあるショップ「本村ラウンジ&アーカイブ」に展示しています。(2022年11月現在。2023年3月まで掲示の予定。)
全員のワークシートを並べてみると、児童一人ひとりの視点の違いに気付く。
本村のエリアには、アートだけでなく、島民の暮らしを感じられる町並みや、島の人たちが自発的に始めたアート活動など、さまざまな魅力が点在しています。
ベネッセアートサイト直島のスタッフは、そういった魅力をお客様に知っていただくための本村エリアのマップの制作に何度か取り組む計画をしましたが、地域資源の要素が多いためなかなか実現に至りませんでした。
今回、直島の子どもたちの視点で、自由にお客様に伝えたい魅力を表現してもらえたことは、ベネッセアートサイト直島を始め、地域の魅力の発信を試みる人たちにとってとてもよいきっかけ・機会となりました。
本村へお越しの際はぜひ児童の発見したことを通じて本村の魅力を知り、地域におけるアートの役割について気付き、考えてみてはいかがでしょうか。
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