影絵と音楽ライブが小豆島の物語を紡ぐ!一夜限りのお祭り「葺田夜祭」【直島アート便り】

2022年9月、小豆島の福田地区にある福武ハウスでは、アーティストと地域住民が今年できた島の「実り」を演目や屋台として持ち寄る「葺田夜祭(ふきたよまつり)」を開催しました。今回は、当日行われた影絵と音楽の公演を中心に「葺田夜祭」について紹介します。

写真:井上嘉和

この記事のポイント

2022年の福武ハウスの取り組み

小豆島の北東に位置する福田地区は、瀬戸内の海に面しながら山々に囲まれ、人と文化の交流点として栄えてきた港町です。この地域に拠点を置く福武ハウスは、廃校となった旧福田小学校を再生し、地域の新たな文化交流の拠点として活動を続けています。

2022年は、瀬戸内海の島々と港を舞台に、3年に1度開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」の年で、小豆島もその会場となっています。福武ハウスでは、アジア・ギャラリーの展覧会「時代の風景・時代の肖像+++」の開催、テラススペース「葺田の森テラス」での小豆島の食材や風土を取り入れたお弁当の提供、小豆島の資源を使って暮らしを豊かにするワークショップなど、さまざまな活動を行っています。

インディゲリラ《Sahabat Alam / Friend of Nature》(ペールグリーンバージョン)2019 / 2022 写真:井上嘉和

そして、2022年9月4日に行われた一夜限りのお祭り「葺田夜祭」では、地域住民による屋台の出店のほか、影絵師川村亘平斎(かわむら こうへいさい)氏による影絵の上演、作曲家石田多朗(いしだ たろう)氏による音楽のライブ公演を行いました。

地域をリサーチして制作する

福武ハウスでは、影絵師の川村氏と2020年から福田地区でのフィールドワークや福田住民へのインタビューを行い、作品制作を通じて地域住民との交流を重ねてきました。今回は新たな試みとして、公募で影絵の出演者を募り、全国から7名の参加者が集まりました。参加者は、8月29日~9月4日まで福田地区に滞在し、川村氏とともに地域のリサーチを行います。

フィールドワークの様子

今もアジア諸地域に根付き、かつて日本でも盛んに行われてきた村芝居や農村歌舞伎は、職業役者ではない市井の人々が土地の物語を語り、演じ、土地の神々や精霊に感謝し住民と実りをわかちあう、いわば地産地消の芸能として育まれてきました。参加者は、住民から集落の歴史を教わるだけでなく、川村氏が作った影絵物語に出てくる具体的な場所を歩いたり、島の自然に触れたりしながら、地域の魅力を発見し、影絵としてアウトプットをする工程に携わりました。また、上演の際に使用する影絵人形や道具を作り、暑さが厳しいなかで本番に向けて稽古を重ねました。

影絵上演リハーサルの様子 写真:井上嘉和

2021年の福武ハウスでの影絵上演に参加した作曲家の石田氏は、今回はシンガーソングライター、打楽器奏者、チューバ奏者の3人を加えた音楽チーム「ドンス」として音楽ライブを行います。石田氏は地域住民へのインタビューを重ね、彼らの記憶の中に残る音楽や歌を題材にしつつ、現代的なアレンジを加え、曲を作っていきました。

賑わいを見せた「葺田夜祭」

「葺田夜祭」当日、福武ハウスの運動場には屋台が並び、島の味を楽しむかたやヨーヨー釣りに夢中になる子どもの姿が見られました。「ドンス」のメンバーは、音楽公演の前に、福田地区にある老人ホームや神社、居酒屋に分かれて即興演奏を行いながら地域を練り歩き、観客を引き連れて福武ハウスの運動場に集まりました。日が暮れる前から福武ハウスは賑やかな雰囲気に包まれます。

福武ハウスの運動場にはカラフルなテントや幟(のぼり)旗が立ち並ぶ 写真:井上嘉和

音楽に合わせて踊る少年 写真:井上嘉和

影絵と音楽の公演の会場となる体育館は、事前予約で満席になるほどの盛況です。公演は「ドンス」による音楽ライブから始まりました。石田氏が福田を訪れるなかで見えてきた風景を作詞・作曲した「福田港」や、地域住民を特別ゲストに迎えた詩吟が披露され、福田地域をフィールドワークするなかでできた地域とのつながりが、音楽として奏でられました。

「ドンス」による音楽公演の様子 写真:井上嘉和

曲が進むにつれ、会場の手拍子は大きくなり、演奏者と観客との間に一体感が生まれていきます。

音楽の公演に続いて影絵の公演に移ります。今回の公演タイトルは「福田うみやまこばなし2022 -かぼそ雑記-」です。小豆島の昔話に登場するカワウソの妖怪「かぼそ」が自分のすみかを探して島を巡るというストーリーです。

影絵上演の様子 写真:井上嘉和

体育館に作られた大きなスクリーンにさまざまな影と光が映し出されると、観客は影絵が作り出す幻想的な世界観に引き込まれるようにスクリーンを見つめます。川村氏は登場するすべてのキャラクターの声を1人で演じ分け、映し出される影絵に対して影絵の音楽チームが演奏します。この一週間、福田に滞在した若き影絵師たちも、それぞれの持ち場を交代しながら、重層的で迫力ある影絵の世界で観客を魅了しました。

今回はスクリーンの裏で影絵師たちの動きを見ることができる席を用意しました。公演を観に来た子どもたちはスクリーンの前と後ろを何度も行き来し、どのような動きでスクリーンの影絵が作られているのか、興味深そうに眺めていました。

子どもたちは影絵師たちの動きを真剣に見つめる 写真:井上嘉和

物語が「つながり」を生み出す

今回の公演のために作られた影絵の物語と音楽は、福田地区を中心にフィールドワークを重ねて作られたものです。地域に残る物語を切り出して保存するのではなく、今を生きるアーティストや参加者らの手によって物語は編み直され、表現されました。「葺田夜祭」は、アートを通じて地域や人との「つながり」を感じられる時間になったと言えるかもしれません。

影絵と音楽公演の出演者たち 写真:井上嘉和

プロフィール

ベネッセアートサイト直島

「ベネッセアートサイト直島」は、直島、豊島、犬島などを舞台に、株式会社ベネッセホールディングスと公益財団法人 福武財団が展開しているアート活動の総称です。訪れてくださる方が、各島でのアート作品との出合い、日本の原風景ともいえる瀬戸内の風景や地域の人々との触れ合いを通して、ベネッセグループの企業理念である「ベネッセ=よく生きる」とは何かについて考えてくださることを願っています。
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