豪雨シーズン到来、学校の水害対策が急務

夏から秋にかけて、豪雨や台風による気象災害で、学校施設に被害が及ぶケースが発生しています。しかし、対策を講じている教育委員会は少なく、リスクの高い立地にある学校も少なくありません。学校は災害時に地域住民の避難所ともなるため、水害対策が急がれます。

この記事のポイント

浸水想定区域の学校は20%もある

2018年7月に西日本を中心に発生した豪雨では667校が、翌2019年10月の東日本台風では、関東・東北地方を中心に2,170校が、被害を受けました。床上浸水、校舎等の屋根やガラスの破損、土砂流入などで1、2か月休校した学校もあり、教育活動の早期再開に支障をきたしました。
文部科学省が2020年に行った調査では、全国の公立学校のうち、降雨や高潮が発生した際に、浸水が想定される「浸水想定区域」に立地し、防災上の配慮が必要な人たちが利用する「要配慮者利用施設」として位置付けられている学校は、全国で7,476校(20.0%)ありました。そのうち、学校施設内への浸水対策をしているのは1,102校(14.7%)、受変電設備の浸水対策を講じているのは1,125校(15.0%)にとどまっています。

最悪を想定するだけだと対策が進まない

こうした状況を踏まえて、文科省の専門家会議では、学校施設の水害対策の推進に向けて中間報告をまとめました。発災時の学校施設の役割として「緊急時の幼児児童生徒等の安全の確保」と「学校教育活動の早期再開」を強調するとともに、「地域防災の拠点としての機能」も付け加えました。そのうえで、水害リスクを踏まえた対策を求めています。
1000年に1度程度の割合で発生する最大規模の浸水を想定した対策は、技術的に困難だったり、膨大な費用がかかったりして、対策が進まない要因になります。それよりも、より発生率の高いケースも想定した対策を検討する視点が必要だと訴えています。

リスクと弱みから学校ごとの対策を

具体的には、10年に1度、30年に1度などの頻度の高い水害を想定し、自治体の治水担当部局等と協力して、実際の被害がどのぐらいになりそうか、情報を整理します。そのうえで、学校施設のどこに弱い部分があるかを見極め、個々の対策の優先順位を決めていきます。避難経路やスペースの確保状況などの「人的被害」や、教育活動の中断が長期にわたるなどの「社会的損失」、復旧にかかる負担などの「経済的損失」の観点も考慮します。
こうした考えに立つと、学校ごとの水害対策は、それぞれ変わってきます。たとえば、洪水や氾濫で水に覆われる深さが大きいと想定される地域の学校では、浸水の発生率が低ければ、ハードの対策よりも、事前避難などのソフト面での対応を基本にする必要があります。一方、浸水時の深さはそれほどでもないが、発生率が高い地域の学校では、止水板を設置して学校の敷地内への浸水を防ぐなど、ハード面の対応が急がれる、といった具合です。

まとめ & 実践 TIPS

これまで学校の安全対策で、耐震対策や津波対策、防災機能の強化は進んできました。頻繁に起きる豪雨災害から、子どもたちを守るためにも、遅れを取ってきた水害対策の強化が急がれます。

(筆者:長尾 康子)

※文部科学省 「水害リスクを踏まえた学校施設の水害対策の推進に向けて」中間報告
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/063/toushin/mext_00001.html

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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