マスクは熱中症のリスクに? コロナ対策と熱中症予防、両立のポイントは?

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2022年のゴールデンウィークは、3年ぶりに行動制限がないなかで迎えました。久しぶりに家族で外出したという子どもも、多かったのではないでしょうか。ただ、日差しが強くなる中、外遊びや運動の機会が増えると、熱中症のリスクも高くなります。新型コロナウイルス感染症対策と熱中症予防を、どのように両立させればよいのでしょうか。

この記事のポイント

体を冷やして水分・塩分の補給を

熱中症は、気温や湿度が高い状況下で起きる体調不良の総称です。屋内や屋外プールなどでも起きることがあります。環境省の「熱中症環境保健マニュアル」によると、熱中症が疑われる時の応急処置は、風通しのよい日陰やクーラーの利いた涼しい場所に移動し、衣服を緩め、水分と塩分の補給を行うことです。

熱中症は、環境要因だけでなく、寝不足などの身体要因や、激しい運動、水分補給などの行動要因が重なって、引き起こされます。特に体温調節機能が十分に発達していない思春期前の子どもは、大人より熱中症のリスクは高くなります。

マニュアルでは、運動時の対策として▽環境条件の把握▽状況に応じた休憩、水分補給▽暑さに徐々に慣れる▽無理な運動をしない▽服装に気を付ける……などの対策を呼びかけています。

本来は4月から要警戒

政府は、2020年まで7月に実施してきた熱中症予防強化月間を、21年度からは4~9月の「熱中症予防強化キャンペーン」と改め、広く注意を呼びかけています。

環境省と気象庁は、熱中症の危険性が極めて高くなると予測された場合に発表される「熱中症警戒アラート」の運用を、2022年度は4月末に開始しました。
アラートは、気温や湿度、地面から出る輻射熱などに基づく「暑さ指数」が33以上と予測された場合に発表されます。実施期間は10月26日までの予定です。

リスク下げる「新しい生活様式」を

マニュアルでは、新型コロナの感染拡大を防ぐための「新しい生活様式」が、熱中症リスクにプラスとマイナスの両方の影響を与えると指摘しています。換気をすると高温の外気が入って室温が上昇し、そのうえにマスク着用で水分補給がしづらくなると、リスクは高まります。一方、日々の検温や体調管理は、同時に熱中症の症状も確認でき、体調不良時に無理をしない行動につながることから、リスク低減に役立つとしています。

感染症対策と熱中症対策を両立するポイントとして、▽体調に応じ、屋外で人と十分な距離がある時はマスクを外す▽マスク着用時は激しい運動を避ける▽のどが渇いていなくても、小まめに水分を補給する▽換気中も室温が上がりすぎないよう、エアコンで調節する……などを示しています。学校でも、体育館で大型扇風機などを使った換気や、健康観察で体調不良の子どもを体育の授業に参加させないようにするなどの注意が必要だといいます。

まとめ & 実践 TIPS

小学校、中学校、高校での熱中症の発生状況は毎年5,000件程度、死亡事故は年間2名程度で、いずれも減少傾向です。新型コロナの新規感染者数も、全国的に減少傾向にあります。
それでも油断せず、両方の対策をしっかり行いながら、暑い夏を乗り切りたいものです。

(筆者:長尾 康子)

※環境省「熱中症環境保健マニュアル 2022」
https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php

※文科省「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」の作成について
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1401870_00001.htm

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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