「一音一音ハッキリ読み」で、学力の土台となる「国語力」は伸ばせる!
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普段当たり前のように使っている「日本語」。
しかし、すべて「日本語」で書かれた同じ教科書を使っても、子どもによって理解度に差があり、学力に開きが出てしまうのはなぜでしょうか。
「受験プロ」として、さまざまなメソッドを開発している、教育環境設定コンサルタントの松永暢史さんにお話を伺いました。
「日本語了解能力=国語力」が、すべての学力の土台に
これまでたくさんの子どもたちの受験指導をしてきましたが、「勉強ができる」子どもは、「日本語了解能力」が優れています。日本語了解能力とは、日本語を使って物事を理解・表現する力であり、国語力とも言い換えることができます。
国語力は教科としての国語だけでなく、算数、理科、社会、すべての教科を学ぶうえでの土台となります。なぜなら、学校の授業やテスト、テキストもすべて日本語だからです。
国語力を高めるには「読書」が近道
国語力を高めるには、読書をすることをおすすめします。
読書をすることで、国語力(日本語了解能力)が高まりますし、語彙(ごい)力や思考力、集中力や表現力など、学力向上に欠かせない力も養われていきます。
学問は突き詰めると、テキストを「読む」ことにあります。学年が上がるごとにテキストは徐々に難しくなっていきますので、できるだけ早くから国語力を高めていくことが大事です。そうすれば、この先自分でテキストを読んでも理解できるので、学校の授業をきちんと聞いていれば、どの教科でも学力は伸びていくでしょう。
「一音一音ハッキリ読み」が効果的
読書のやり方としては、幼児期の読み聞かせから始まり、学童期には「音読」がありますが、どちらにも共通していえることは「一音一音ハッキリ読み」をすることです。
「僕が」なのか、「僕も」なのか、「僕は」なのか……。
「が・も・は」の、この一音だけで、話はまったく違ってくるのですが、適当に発音していては、助詞や助動詞の働きをしっかり理解することは難しく、それがテキストを読めないことの理由のひとつではないかと思います。
「一音一音ハッキリ読み」では、一音一音を区切って、口を大きく開けて読みます。
特に母音については、
「あ」…最大限に口を開く発音
「い」…「あ」の状態から左右に思い切り広げる
「う」…口を前にとがらせてしっかり止める
「え」…口をやや縦に開いて発音する
「お」…口を結びかけて下あごを下げ、口の中に空洞をつくる
を意識して取り組むとよいです。日本語は46音ありますが、口の形は基本的にこの5つでカバーできます。
小学生でもOK!古典の名文を「音読」しよう
国語力を高めるにはまた、「古典の名文」を音読することをおすすめします。
「一音一音ハッキリ読み」にたどり着いたきっかけでもあるのですが、「勉強ができない中学2年生男子」の指導をしていた時のことです。彼は最初、テキストの漢字が読めないどころかひらがなも読み間違うレベルでした。そんな彼が学校の授業で「古文」に入り、まったく読めなかったため、次の授業までに読めるようにしてくるようにと先生に言われました。
その古文の文章は、吉田兼好の『徒然草』でした。
最初は私のあとについて、一句ずつ読んでもらっていたのですが、つっかえつっかえで、次の日にはまたまったくできなくなっているという状況だったので、ほとんどやけくそになり、「もう意味はいいから、まずは一音一音区切って読んでみよう!」と提案しました。一字ずつ「つ・れ・づ・れ・な・る・ま・ま・に」と大きな声で繰り返し読ませました。
するとどうでしょうか。『徒然草』が音読できるようになっただけでなく、現代文の随筆も上手に読めるようになり、社会や数学のテキストも読めるようになっていったのです。その結果、国語以外の教科も少しずつ成績が上がり、クラスでビリから2番目だった彼は高校進学後も順調に成績を伸ばし、有名私大へと合格していきました。
彼の国語力が『徒然草』の音読によって飛躍的にアップしたのは、『徒然草』が、「音のよい言葉」の名文だったからだと思います。古典の名文には、美しい日本語が詰まっており、その言葉を体感することで、国語力が伸びたのです。その後も何度もこの方法で指導してみましたが、学年にかかわらず、多くの子が飛躍的に国語力を伸ばしていきました。
これは幼児でも小学生でも同じです。意味や文法がわからなくても大丈夫です。繰り返しよい言葉の音を体感することで、日本語の了解能力、国語力が高まっていくのでしょう。
まとめ & 実践 TIPS
日本語を使って物事を理解・表現する力、「日本語了解能力(国語力)」がすべての学力の土台となることがわかりました。またこの能力を高めるには、読書が効果的であり、学童期には特に、日本語の一音一音の「音」をしっかり味わいながらの「音読」、テキストとしては古典の名文がよいそうです。
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