児童の交通事故は6月が最多 登下校時の安全対策は?
- 教育動向
2017年から2021年の5年間で交通事故に巻き込まれた小学生(児童)が約4,300人に上ることが、警察庁が公表した子どもの交通事故発生状況でわかりました。
特に6月は、歩行中や自転車の事故が最も多く発生しています。安全運転意識の向上とともに、通学・通塾路の安全確保が求められます。
この記事のポイント
過去5年で5,530人が被害者に
警察庁によると、 5年間で4,271人の児童、1,259人の幼児が、交通事故で死亡するか重傷を負っています。
幼児・児童の死者・重傷者は、いずれも歩行中が約6割と最多で、うち児童では約3割が自転車乗用中でした。月別に見ると、児童では歩行中、自転車乗用中とも6月が最多、歩行中の幼児では4月が最多となっています。
曜日や時間帯別に見ると、児童は平日の登下校の時間帯に重なります。歩行中の事故は、幼児・児童ともに平日の16時~17時台に最も多いのですが、幼児は土日の日中の時間帯、児童は平日の14時~15時台と、6時~7時台の時間帯でも多くなっていました。
自転車乗用中の児童では、7割超が「出会い頭衝突」で、学齢別でみると、歩行中の事故と比べて小学校中・高学年が事故に遭っている割合が多くなっています。
児童側の法令違反を見ると、「安全不確認」(25.1%)、「違反なし」(19.4%)、「交差点安全進行」(17.2%)「一時不停止」(15.6%)などとなっています。
多数残る危険箇所の対策は
通学中の子どもの安全を守るために設けられた重点地域に「スクールゾーン」があります。小学校や幼稚園などを中心に半径500メートル程度に設定され、通行禁止の時間指定があれば、車両は迂回しなければなりません。運転者は交通規制を守るのと同時に、スクールゾーン周辺でも、飛び出しや自転車の安全不確認を想定して運転することが求められます。
しかし通学路のなかには、まだ危険が潜んでいる所も少なくありません。2021年6月に千葉県八街市で下校中の児童の列にトラックが衝突して5人が死傷する痛ましい事故が起きました。
これを受けて文部科学省が、教育委員会や警察などと合同で、全国の市町村立小学校の通学路を点検したところ、対策が必要な箇所は7万6,404箇所に上ることが明らかになりました。政府は報告に基づき、2023年度末までに対策を完了するとしています。
見守りボランティアは減少
これまで登下校時の安全確保は、地域の「見守りボランティア」に頼ってきました。しかし住民の高齢化や、人口減少に伴う担い手不足も懸念されています。PTAだけで担うのも負担が大きく、今後の課題の一つとなっています。
まとめ & 実践 TIPS
6月は遠足や「まち探検」などの校外活動も増えてくる時期です。全国の警察や市役所、地域の教委などでは、見守りのためのハンドブックをホームページで公開しています。危険箇所はどこかを見ておくだけでも、子どもの安全につながるのではないでしょうか。
(筆者:長尾 康子)
※警察庁 令和4年春の全国交通安全運動の実施について
https://www.npa.go.jp/news/release/2022/20220311001.html
※文科省 「やってみよう!登下校見守り活動ハンドブック」
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/mext_01335.html
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