学校の部活が民間のスポーツクラブに移行?部活動を運営するうえでの大きな壁とは

学校の部活動の在り方について、運営や指導を学校外に委ねる「地域移行」の議論が進んでいます。少子化による部員数の減少や、指導する教員の負担軽減に対応するためです。どのような課題と対応策があるのでしょうか。

この記事のポイント

これまでは学校教育の一環として実施

中学校に進学したら、どの部に入るか楽しみにしている子どもは少なくないでしょう。練習量が多かったり、勉強との両立が難しかったりするなど大変な面がある一方で、仲間が増える、みんなでがんばるのが楽しい、試合や大会でいい成績を収めると達成感がある、など「大変だけれど、楽しい」のが部活動ではないでしょうか。

部活動は、生徒の自主的、自発的な参加によって行われるものとされています。課外活動ではありますが、子どもの心身の成長を支える学校教育の一環として、学習指導要領に位置付けられています。また、国内のスポーツや文化芸術の振興を担う存在だということは、誰もが認めるところでしょう。

課題は少子化や教員の負担

しかし近年、部活動の運営は、幾つもの点で大きな壁に突き当たっています。
一つは、少子化です。公営財団法人日本中学校体育連盟(中体連)の調べでは、13~15歳の運動部に加盟している人数は2018年度、約200万人で、09年度から13.1ポイント減少しています。
野球やサッカー、バレーボールなどの一定の人数が必要な部活動を学校単位では維持できず、合同でチームを組む例も増えています。吹奏楽や合唱などの文化系の部活動でも、同じ悩みに直面しています。

もう一つは、顧問として指導を担う教員の負担です。文部科学省の調査では、土日の部活動業務は2016年で2時間9分と、10年前に比べ倍増しました。運動部改革を議論する有識者会議では、土日の部活動指導をなくしても、文科省の示す教員の残業ガイドラインには収まらず、総合的な働き方改革の必要性が指摘されています。
また、指導経験がない部活動の顧問となった場合、大きな負担となるなどの声もあります。

民間のクラブや団体の指導を想定

解決策として文科省が議論を進めているのが、部活動の地域移行です。
休日の部活動を2023年度以降、段階的に民間のスポーツクラブや芸術文化団体、地域の指導者などが担うことを想定しています。

現在、スポーツ庁で運動部、文化庁で文化部と、それぞれに有識者会議を設け、▽地域の受け皿となる組織や団体との連携▽ふさわしい指導者の在り方や確保・育成▽家庭が負担する費用や保険▽大会やコンクールの在り方……などを論点に検討を進め、いずれも2022年7月までに提言をまとめる予定です。

既に各地で地域移行のモデルケースも出てきていることから、中体連は2022年3月、全国中学校体育大会(全中)に、地域スポーツクラブなどに所属する生徒が参加することを認めると発表しています。

まとめ & 実践 TIPS

部活動は、地域や学校によって取り組みの実情に幅があります。教員や保護者の関わり方や、今後の部活動に対する期待も多様です。新型コロナウイルス感染症の影響で活動が停滞しているとはいえ、課題が山積している部活動の改革は、先延ばしにはできません。
関係者が共通認識を深め、何より子どもたちが、やってみたいと思うスポーツや文化芸術活動に触れる機会を失わないよう、改善の方向性を探りたいものです。

(筆者:長尾 康子)

※スポーツ庁 運動部活動の地域移行に関する検討会議
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/035_index/index.html

※文化庁 文化部活動の地域移行に関する検討会議
https://www.bunka.go.jp/seisaku/geijutsubunka/sobunsai/chiiki_ikou/index.html

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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