<新高1~高校新課程~>教科書が変わった! 学び方も変わった!

  • 新課程・新入試

2022年3月の末に、新聞やテレビで「教科書検定」の結果が報道されていました。
高校の教科書が変わるということですが、何がどう変わるのか、保護者のみなさんの世代と何が違うのか、わかりやすく解説します。

この記事のポイント

「新課程」という言葉

高1生の保護者のかたは、「新課程」という言葉を覚えておいてください。
保護者会や三者面談で高校に行くと、今年の高1では「新課程」という言葉が頻繁に出てくるはずです。

「新課程」というのは、「新しい学習指導要領に基づいて編成された教育課程」という意味ですが、そんな定義はどうでもよく、ごく簡単に言うと、教科・科目名が変わり、学ぶ内容や教科書が変わり、学び方も変わる「節目」と考えてください。

今年の高1生が「新課程一期生」であり、この学年で使う教科書は現高2生が高1のときに使っていた教科書とは別のものになっています。
そしてこの学年が受ける入試のことを「新課程入試」と呼びます。

科目名が変わり教科書が変わる

高校によって異なりますが、主に高1で勉強する科目として新しくできた、耳慣れない科目に「言語文化」「歴史総合」「公共」などがあります。

「言語文化」では現代文の小説と古文・漢文を学びます。
これまで「世界史」と「日本史」が分かれていることが当たり前だった高校で、世界史・日本史を統合した「歴史総合」が新設されました。
また、「公共」は18歳成人とも関連して、大人としての社会との関わりについて学びます。
それぞれ新しい教科書ができているのですが、これら以外の名前が変わらない科目も教科書は大幅に改訂されています。

「問い」から始まる歴史の授業

授業のやり方も変わります。
多くの保護者の皆さんの歴史の勉強のイメージは、歴史的事実が教科書に書かれていて、先生が解説をしてくれて、テスト直前に年表やできごと、人物名をひたすら覚えてテストで再現する(そしてすぐに忘れる!?)、というものではないでしょうか。

しかし新しい科目「歴史総合」の教科書は歴史的事実の前に、「問い」から始まっています。
たとえば「産業革命は世界をどのように変えたのか」のような「問い」の答えを考えていく材料として歴史的事実の説明がある、という構成になっています。
そして「問い」に対する答えを考えるために、グループで話し合ったり、意見をまとめて発表したりする授業が展開されていきます。
保護者の皆さんの世代の社会科の勉強とはイメージが全く違うのではないでしょうか。

知識も大切だが、考える力やコミュニケーションの力がさらに大切だ、ということはある意味大人から見たら当たり前のことだと思います。
学校教育と社会がこれまで以上につながる、それが「新課程」です。

数学をあきらめない

変わるのは、名前が新しい科目だけではありません。
たとえば「数学」では、データの分析や統計に関する学習項目が増えています。
これらはAI(人工知能)やデータサイエンスのような、これからの社会において非常に重要であり、現在の日本において人材が不足している分野と強く関わっています。ここでも学校教育と社会のつながりを感じていただけると思います。

実は大学では、国公私立問わず、文系学部・理系学部問わず、全学対象にデータサイエンス教育を行うところが増えていっています。
「数学が苦手だったら文系へ」というような判断をしがちだと思います。
しかし、そうやって早期に数学をあきらめてしまうと、大学に入ってからデータサイエンス教育につまずき、苦労することになりかねません。

さらに言うと、社会に出たあと、文系学部出身だからデータを扱わない、などということはありません。
これからの時代に必要とされる新しい知識や技術を得るためには、数学の素養はとても大切なのです。

高2から文系、理系に分かれる学校でしたら、今年何度か行われる三者面談で、文理選択が話題になると思います。
そこで「数学が苦手なので文系に」というような判断やアドバイスをしないようにお気を付けください。
(選択にあたっては、「どういうことがやりたいのか」「どういうことが好きなのか」ということを大切にしてください。)

まとめ & 実践 TIPS

教育は、社会の変化と深く関わっています。
保護者のかた自身の過去の経験や記憶をベースにしたアドバイスは、もしかしたら今の学校教育に合わないかもしれません。

それよりも、今現在、高校生より社会に近い側にいる立場から、たとえば社会で活躍できる人材のイメージ、これまで出会ってきた素晴らしい社会人の姿を語ってあげましょう。そういったモデルや目標イメージをもつことが、学びへのモチベーションにつながっていきます。

プロフィール


西島 一博(にしじま かずひろ)

ベネッセ文教総研所長。株式会社ベネッセコーポレーションで、高校、中学校、小学校対象のさまざまな教材開発に携わる。2016年度より高校用教材・生徒手帳などの制作・販売を行うグループ会社、株式会社ラーンズの代表取締役社長を務め、2021年度より現職。ベネッセ文教総研では、主として中高接続、高校教育、高大接続の領域での研究、情報発信を行っている。

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