新型コロナが途上国の子どもたちに与える影響 40%の子どもたちが学校に通えていない現状をどう捉えるのか

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日本を含め北半球の国々では、まもなく新学期、新学年を迎えますが、世界に目を向けると、新型コロナウイルス感染症の影響で、長期に学校閉鎖が続いている地域もあります。

国連児童基金(ユニセフ)の推計では、感染拡大で学ぶ機会を失っている子どもは、アジアで8,000万人に上ります。リモート学習を利用できる子どもは一部だけで、学校を閉鎖することは「最後の手段」だとしています。

この記事のポイント

地域によっては40%の子どもたちが学校に通えていない

ユニセフによると、アジア・太平洋地域では、ほぼ半数の国で200日以上も学校が閉鎖されています。ラテンアメリカ・カリブ海地域では、18の国と地域で、学校が再開されていません。
東部・南部アフリカでは、学齢期の子どもの40%が学校に通っていないと推計されています。この地域では、コロナ前から学校に通っていない子どもが多いことも影響して、10人に4人が学校に通っていない状況が続いています。

リモート学習に手が届かない

日本などでは、学習する機会を守るため、コンピューターなどを用いた遠隔学習に期待が掛かります。しかし、特に途上国では、遠隔授業に参加できる子どもは一部だけで、多くは手の届かないものになっています。
ユニセフは、東アジア・太平洋地域で8,000万人以上の子どもが、休校中に遠隔学習ができなかったとしています。
特に深刻なのは、アフリカです。ウガンダでは、家庭のインターネット接続率が0.3%、南スーダンでは0.5%以下と低く、遠隔学習を受けられない状況になっています。

不利な状況から子どもを守る学校に

通学やリモート授業を受けられれば、貧困の連鎖を断ち切るための基本的な学習ができますし、虐待や、女の子の早婚、望まない妊娠も避けることができます。
しかし、新型コロナの影響で保護者が学費や交通費を払えなかったり、貧困で児童労働を余儀なくされたりするなど、さまざまな理由から、通学やリモート授業から遠ざけられている子どもがたくさんいるのが世界の現状です。
ユニセフは、教育分野で▽学校を、できるだけ早く再開する▽政府やドナー(援助供与国)は、教育予算を守る▽学校に通っていなかった子どもの入学機会を保障する▽最も弱い立場にある人々への現金給付支援を増やす▽どこでもワクチンを入手できるようにする……ことを呼び掛けています。また、学校に行かないことで被る不利な状況から子どもたちを守るためにも「学校は最後に閉鎖され、最初に再開されるべき」としています。

まとめ & 実践 TIPS

新型コロナに対する社会の関心は、感染者数や医療体制、経済のことなどに集中しがちで、子どもたちにどのような影響があるかは、後回しにされがちです。先進国でも新型コロナは深刻な問題ですが、途上国の子どもたちが一層深刻な状況に置かれていることを、忘れてはならないでしょう。

(筆者:長尾康子)

※ ユニセフ 世界の子どもたち「教育」
https://www.unicef.or.jp/children/children_now/select.html?tag=kyoiku

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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