PTA活動 コロナ禍でどんな変化が起きている?

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2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、PTA行事が中止された学校も少なくありませんでした。2021年度の活動も、制限が見込まれます。一方、ICT(情報通信技術)を活用し、リモートで活動を進めるところも出てきました。コロナ禍は、PTA活動のあり方を見つめ直す機会にもなっているようです。

この記事のポイント

スポーツ大会や子ども向けイベントが中止に

全国一斉臨時休校の措置も取られた20年度は、PTA活動も大きな制限を受けました。東京都小学校PTA協議会が昨年6月、都内公立小学校のPTA208校と4団体を対象に行ったアンケート調査によると、PTA総会を開催したのは48.3%、延期などの対応は37.2%、中止や未定は14.5%でした。「開催した」「開催予定」と回答したPTAのうち、対面での開催を行ったのはわずか9.8%で、78.7%が書面による開催となりました。

PTA活動のうち2020年度、中止の比率が高かったのは、「教員や保護者の親睦・スポーツ」(39.5%)や「子ども向けのイベント」(33.2%)でした。一方、実施の比率が高かったのは、見守りなどの「児童の安全に関すること」(46.3%)や「PTAの広報活動」(43.8%)でした。また、「学校行事のサポート」や「地域行事のサポート」は、回答時点で「未定」が60%近くに達していました。運動会などの行事は、昨年度は縮小や変更など先の読めない状況が続いたため、PTAとしても予定が立てられない状況が続いたとみられます。

SNSで連絡、オンライン会議で効率化

集団や対面での活動が困難だった一方、オンライン会議などデジタルの力を借りて、活動を継続したPTAもありました。先の調査で、コロナ禍で新たな活動や取り組みを始めた158校に尋ねたところ、「オンライン会議」(59.5%)、「メール配信」(36.1%)、「配布書類のデジタル化」(29.1%)、「SNS活用」(15.8%)などが挙がりました。

高校では講演会の動画配信も

実際には、どのようなPTA活動が行われたのでしょうか。高校の例ですが、全国高等学校PTA連合会がまとめたコロナ禍での活動事例集では、講演会などの人が集まる活動をリモートで行った例が紹介されています。

広島県の呉地区高校PTA連合会では、地元のプロバスケットボールチームのチアダンスチームと、呉地区の高校の書道部部員の書道パフォーマンスを組み合わせた応援動画を撮影し、配信しました。

福井県立敦賀高校PTAでは、さまざまな職種の社会人を講師に招く進路講演会を動画撮影し、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」で限定配信しました。同校は、これまでの活動が「お金を集めるだけの役割になっていないか」「学校に丸投げしてこなかったか」「毎年同じことを繰り返してこなかったか」など、コロナ禍がPTA活動を見つめ直す機会になるとしています。

まとめ & 実践 TIPS

共働き家庭も増えるなか、学校に集まって会議や作業をするPTAは、負担感が大きいという声も上がっています。デジタル化で、役員会や委員会などにより参加しやすく、情報を入手しやすい環境が作られることが期待されます。学校では、「GIGAスクール構想」で整備された1人1台のコンピューター端末の活用が進めば、校務のデジタル化も進みます。学校全体で効率化を進め、子どもたちのためになる活動は何かを考えるチャンスとしたいものです。

一般社団法人 東京都小学校PTA協議会 実態調査 PTA活動アンケート
https://www.ptatokyo.com/category/actualsituation/

全国高P連コロナ禍における教育活動・PTA活動対応事例
http://www.zenkoupren.org/archives/1543

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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