「ポケモン化石博物館」で本物の化石とポケモンを見比べよう!気になるオリジナルグッズも紹介
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この夏、北海道・三笠市立博物館を皮切りに始まる巡回展「ポケモン化石博物館」。『ポケットモンスター』シリーズに登場するカセキから復元されたポケモン(以下「カセキポケモン」と呼ぶ)と現実の「化石」を比較しながら楽しく古生物学を学べます。企画発案者の相場博士に見どころと、展示への想いを聞きました。
『ポケットモンスター』シリーズの「カセキ」「カセキポケモン」と、現実の「化石」「古生物」を比較できる展覧会
「ポケモン化石博物館」は、『ポケットモンスター』シリーズに登場する「カセキポケモン」と、実際の「化石」や恐竜などの「古生物」を見比べ、共通点や違いを発見しながら古生物学を学ぶことができる企画展。
まずはイントロダクションで「古生物」とは何か、「カセキポケモン」はどんなポケモンなのかを知ってから、博士と「発掘ピカチュウ」の案内で展示室へ。
例えば、うずまきポケモンの「オムナイト」と古生物「アンモナイト」を比較しながら、それぞれの特徴の違いや共通点を発見できるような工夫がされています。
見どころ1.描き下ろしアート
ポケモンと古生物。ともに現代には実存しない生物が、アートで復元されました。それぞれは比較しやすいポーズで描いているほか、例えばティラノサウルスに羽毛があるなど、最新の学説を取り入れた復元で、恐竜好きの子どもたちも納得のクオリティ。
見どころ2.骨格想像図
古生物、ポケモンそれぞれの骨格想像図をイラスト化。古生物の骨格図を専門に描くプロのイラストレーターが、ポケモンの動きなどを熟慮し作成したもので、これらの骨格想像図のイラストは、初公開。
見どころ3.化石標本
開催博物館が所蔵する化石標本の中から、ポケモンとよく似たものをピックアップ。化石標本の実物を見ることで、リアルな観察と比較ができます。
見どころ4.カセキポケモンの実物大模型
ぼうくんポケモン「ガチゴラス」と、シールドポケモン「トリデプス」の骨格イメージ模型や、かいのカセキ(ゲーム内に登場するアイテム)により復元された「オムナイト」などの実物大模型を制作。まるでポケモンの世界に入り込んだかのような気持ちに。
それぞれの展示には解説パネルがあり、展示物をじっくり観察してからパネルを読むと、古生物への理解が深まります。
子どもにも分かりやすい解説ですが、大人が読んでも「そうだったのか!」と驚きを持つ内容で、親子で一緒に楽しめる企画となっています。
- ・クオリティ高い描き下ろしアート
- ・ポケモンと古生物の骨格想像図も
- ・実際の化石も多数展示
- ・実物大のカセキポケモン模型
メインテーマは“観察と比較”。「ポケモン化石博物館」の狙いとは?
「ポケモン化石博物館」は一体どのように企画されたのでしょうか?
発案者である三笠市立博物館の相場大佑さん、㈱ポケモンの服部悦哉さん、国立博物館の久保匡さんにその狙いを聞きました。
2年前に「化石とポケモンを繋げる企画展」として相場博士からの提案を受けた服部さんはすぐにこの企画の意義に気づき、開催に向けて動き出そうと決めたそうです。「私たちは『My First Pokémon プロジェクト』といって、ポケモンと子どもたちの接点をつくる活動をしており、子どもたちによりよいポケモンとの出会いをしてもらいたいと常々考えています。今回の企画は素晴らしいものになるとすぐに確信しました」(服部)
今回の企画では、ある重要なミッションが与えられたといいます。それは“単に化石とポケモンを並べるだけではなく、両者にとって意味のある展示にする”ということ。
その言葉を胸に、ポケモンと古生物の"観察と比較”が子ども達にとって新しく、そして楽しい科学体験になるよう、展示の見せ方などに工夫を凝らしたそうです。
「どんな研究も“そのものをよく見てみる”というところからスタートします。子どもたちも理科の授業などで観察はしていると思いますが、ポケモンという身近な存在が比較対象としてあることで、古生物の特徴もより一層際立ち、新しい発見が生まれやすい。”あ!ここが似てる!”“あ!ここが違う!”という発見は、人から教えてもらうよりも鮮明に記憶されますし、学習へのモチベーションも高まると考えました」(相場)
子どもたちが自主的に“観察・比較”を楽しむことができる展示は、観察力が高まるだけでなく、視野が広がることも期待できそうです。
「『ポケモン化石博物館』を訪れたら、ぜひ常設展も見て欲しいです。全国それぞれの博物館に特色があり、例えば三笠市立博物館には、世界屈指のアンモナイトコレクションがあります。“オムナイトに似たものだけではないんだ”と、さらなる発見につながるかもしれません」(久保)
「子どもの「好き」は将来の可能性を広げるきっかけになる」相場博士インタビュー
今回の企画発案者である三笠市立博物館・主任研究員/学芸員の相場さんは、子どもの頃に誕生日プレゼントでゲームをもらったことがきっかけで、ポケモンに夢中になったそう。
「ある日ポケモンで遊んでいたとき、ふと“ポケモンの中には現実世界の生物と似ているものがたくさんいるな…”と気づいて。そこで家や学校の図書館にある図鑑を見て、ポケモンと照合するようになったんです」
それ以前から化石や恐竜も大好きだったという相場さん。「博物館などに行っては“恐竜ってカッコいいな!”と感動していました。家でも恐竜の本を見たり、子どもながらに古生物にロマンを感じていましたね」
そんな相場さんですが、多くの子どもたちと同じように、成長するにつれて他のものに興味が移っていきます。「小学校の中学年ぐらいにはもう興味を失って、大学まですっかり恐竜のことは忘れていました」。ところが、大学生のときに運命の再会をします。
「偶然家の本棚から大好きだった恐竜の本を発見したんです。それを眺めていたらどんどん知りたい気持ちが膨らんできて…。そのときはすでに大学で数学を学んでいたのですが、思い切って進路を変更し、古生物学研究の道へ入っていきました」。
そして、あることがきっかけでその道を極めることに。「化石を掘っているときに“これってポケモンと同じじゃん!”と。化石を発掘してコレクションすることと、ゲームの中でポケモンを集めたことがリンクした瞬間でした」。子どものときに夢中になっていたことと現実世界が合致し、相場さんはさらに研究に邁進し、ついに博士号を取得するまでになったのです。
このように子どもの頃に夢中になったことは、将来の道を決めるきっかけになる可能性を秘めている大事なもの。保護者は子どものどんな“好き”でも見守ってあげることが大切なのかもしれません。
最新情報!展覧会オリジナルグッズの紹介
「ポケモン化石博物館」では、展示に登場したカセキポケモンのぬいぐるみや、オリジナルグッズを販売。
・ぬいぐるみ 発掘ピカチュウ 価格:2,310円(税込)
・アクリルキーホルダー ガチゴラス 価格::715円(税込)
・じゆうちょう 価格:330円(税込)
ノック式消しゴム 価格:各385円(税込)
Tシャツ 価格:130cm、150cm 各3,300円(税込) フリーサイズ 3,520円(税込)
・図録 価格:1980円(税込)
グッズ・図録については、巡回展「ポケモン化石博物館」 公式ページで紹介中
https://www.kahaku.go.jp/pokemon/
【開催概要】
「ポケモン化石博物館」
開催期間:2021年夏〜2023年夏(予定)
<巡回会場>
・三笠市立博物館(北海道三笠市幾春別錦町1-212-1)
会期:7月4日(日)〜9月20日(月)
・島根県立三瓶自然館サヒメル(島根県大田市三瓶町多根1121-8)
会期:2021年秋
・国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20)
会期:2022年春
・豊橋市自然史博物館(愛知県豊橋市大岩町字大穴1-238)
会期:2022年夏
※以降の巡回先については調整中。
まとめ & 実践 TIPS
ポケモン好きだけでなく、子どもから大人まで、楽しく観察しながら学びを得られる「ポケモン化石博物館」。お近くに巡回した際は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
© 2021 Pokémon. © 1995-2021 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
取材・文/橘川麻実
取材協力/独立行政法人国立科学博物館、三笠市立博物館、株式会社ポケモン
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