自転車の安全な乗り方 子どもを交通事故の加害者にしないためには? 自転車保険に加入し更新忘れにも注意
- 教育動向
新型コロナウイルス感染症の防止で、「密」を避ける移動手段として、自転車が注目されています。しかし、自転車側の法令違反による事故も少なくありません。安全に利用するには、どのような点に注意したらよいのでしょうか。
この記事のポイント
Q.どんな事故が起きている?
A.対自動車が最も多く、自転車側にも違反が見られます。
警察庁が公表した、2020年度の交通事故の発生状況を見ると、自転車関連の交通事故死者・重傷者数は6829件で、前年度(7831件)より少し減少しました。そのうち、相手が自動車だった事故は5425件で、全体の79%を占めます。
さらに詳しく、事故の類型で見ると、自転車と自動車の事故のうち、「出会い頭衝突」(55%)が半数以上を占めます。続いて、「右左折時衝突」(28%)、「追越追抜時衝突」(4%)、「追突」(4%)などとなっています。
出会い頭衝突事故では、自転車側にも法令違反が見られることがわかっています。「安全不確認」(22%)、「一時不停止」(16%)、「交差点安全進行義務」(16%)、「信号無視」(7%)などです。
Q.安全運転のポイントは?
A.自転車も「車の仲間」として考え、交通ルールを守ることが大切です。
道路交通法上、自転車は軽車両、つまり「車の仲間」と位置付けられています。2007年に交通対策本部が決定した「自転車安全利用五則」をご存じでしょうか。
- 1 自転車は、車道が原則、歩道は例外
- 2 車道は左側を通行
- 3 歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
- 4 安全ルールを守る(飲酒運転・二人乗り・並進の禁止、夜間はライト点灯、交差点での信号遵守と一時停止・安全確認)
- 5 子どもはヘルメットを着用
この五則は、いずれも自治体の広報誌やホームページ、警察署などで見ることができます。子どもたちは、学校の「交通安全教室」などで、自転車の安全運転を学ぶ機会があります。むしろ、保護者世代のほうが、交通ルールを忘れてしまっていることもありそうです。
具体的な違反事例や、「これは交通ルールに違反するかどうか」のQ&Aなどを、一度確認してみることをおすすめします。
Q.子どもを加害者にしないためには?
A.自転車保険の加入を「義務化」する自治体も増えています。
子どもが自転車事故の加害者になった場合、未成年でも、高額な賠償金を請求されるケースが出てきているためです。
自転車に乗っていて、自転車同士、あるいは人にぶつかって、事故を起こしてしまった場合に備え、自転車損害保険の加入を、条例で義務化する自治体が増えています。自転車の利用者が未成年者の場合は、保護者が保険に加入することになります。
自転車の点検・整備を受けた際に貼り付ける点検整備済証「TSマーク」には、傷害保険と賠償責任保険が付帯されるので、これを利用するのも一つの方法です。ただし、有効期限が1年なので、更新忘れに注意が必要です。
まとめ & 実践 TIPS
今年の連休は「密」を避ける意味から、また、近年では「エコ」の観点から自転車を利用し、近場でスポーツやピクニックを楽しむ、といった過ごし方を考えているご家族も多いことでしょう。緊急事態宣言も解除され、久しぶりに屋外で過ごせる時間を安全に過ごすためにも、自転車の交通ルールを今一度、見直してみてはどうでしょうか。
出典:
※警察庁交通局 令和2年における交通事故の発生状況等について
https://www.npa.go.jp/news/release/2021/20210218jiko.html
※自転車の安全利用の促進について 自転車安全利用五則
https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/bicycle/bicycle_h19.html
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