【Q&A】3.11の震災から10年 被災地以外の都市に住んでいる人の2人に1人は備えが足りない?!

  • 教育動向

2021年3月11日で、東日本大震災から10年がたちます。日本赤十字社は20年12月、20歳以上で(1)岩手、宮城、福島の被災3県に住んでいるか、住んだことがある人(100人) (2)東京、愛知、大阪、福岡の各都府県に住んでいる人(400人)にインターネット調査を行い、災害の記憶と、災害意識の変化について聞きました。家庭や学校で、どのような備えができるのか。調査を基に、考えてみましょう。

この記事のポイント

Q.被災地に住む人と他の都市に住む人で、災害への意識の違いは?

被災地に住む人と、その他の都市に住む人とでは、災害への意識や取り組みに、開きがあることがわかりました。「自分が今日、災害に遭うかもしれない」と考える頻度について、「月に1度以上の頻度で考えることがある」と答えた人の割合は、被災地で55%と半数を超えましたが、その他の都市の人たちでは、38%にとどまりました。

Q.災害に対する実際の備えは?

災害に対する家庭での「備え」については、被災地では「十分とは言えないが、一応の備えはしている」が最も多く、65%を占めました。一方、その他の都市の人たちでは、45%が「いつかやらなければと思っているが、まだ備えはできていない」と答えています。

東日本大震災をきっかけに取り組み始めたことで、被災地の人たちが、他の都市の人より多く取り組んでいるものとしては、「家族や親族と連絡方法を決めた」(29%)、「地域住民との交流を始めた」(11%)があります。水や食料の備蓄は、被災地の家庭では平均3.72日分なのに対して、他の都市の家庭では2.73日分と、約1日の開きも見られました。
調査結果からは、被災地以外に住む人たちの、災害への関心や準備が薄れてきている様子がうかがえます。

Q.災害への備えとして家庭や学校でできることは?

今後、震災以降に生まれた子どもや、当時、幼くて記憶に残っていない世代に対しても、震災の記憶を伝え防災意識を高めていくには、学校で積極的に学ぶこともポイントになります。
地震や津波で被害を受けた学校を、震災遺構として整備し、防災教育施設として活用する自治体も出てきています。修学旅行の訪問先に組み込んだり、サイトを訪問して調べ学習に活用したりすることもできます。避難所運営をシミュレーションする「HUG(避難所運営ゲーム)」など、楽しみながら防災意識を高められる教材もあります。

まとめ & 実践 TIPS

東日本大震災以降も、地震や台風、集中豪雨・豪雪など、災害は毎年のように、日本各地で起きています。しかし、調査結果から浮かび上がったような被災地以外の意識のままでは、2人に1人は備えもないまま、災害を迎えてしまうことが予想されます。
一人ひとりの防災意識を高めるため、日本赤十字社では、SNSを活用した啓発活動を展開しています。各家庭でも、被災地の人たちの取り組みを参考に、災害への備えを見直し、命の大切さを考える機会としてはどうでしょうか。

※日本赤十字社 東日本大震災から10年、災害の記憶と災害意識の変化に関する実態調査
http://www.jrc.or.jp/press/210211_006540.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

  • 教育動向

子育て・教育Q&A