【Q&A】コロナ禍で修学旅行はどうなる? 実施する場合の注意点は?

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学校行事の中でも、とりわけ心に残る思い出になる修学旅行。新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴って、延期や中止をする学校も出てきています。そうした中、これまでとは違う修学旅行のスタイルを模索する動きも出てきています。

この記事のポイント

Q.2020年度、中止になった学校はあった?

A.冬の新型コロナ第3波に伴って、修学旅行や校外学習を延期・中止する地域や学校も出てきています。
たとえば東京都では、2021年1月に緊急事態宣言が発出されたことに伴い、都立高校の修学旅行を、宣言解除まで中止としました。一度は延期し、計画を再設定して準備を進めてきた学校も、やむなく中止の判断を余儀なくされました。
小中学校でも、20年度は校外に出かける行事が中止や延期となり、まったく思い出が作れなかった、と悲しい思いをしているご家庭も多いと思います。また、21年度、修学旅行ができるのか、不安を抱えるご家庭も少なくないことでしょう。

Q.文科省の考えは?

A.文科省は、緊急事態宣言下での修学旅行の実施についての考えを公表しました。
子どもたちにとって修学旅行は、かけがえのない貴重な思い出となる、教育効果の高い活動であるため、適切な感染防止策を十分講じた上で、その実施について最大限の配慮をしてほしい、としています。実施する方向で検討すべきだ、というのが、原則的な立場です。
ただし、緊急事態宣言が発令された対象都道府県の学校では、すぐの修学旅行の実施が難しくなりました。そこで文科省は、目的地の感染状況や保護者などの理解を得た上で、近距離での実施や旅行日程の変更・短縮、最終学年でない場合は翌年度へ繰り越すことなどを検討するよう求めています。

Q.注目される「マイクロツーリズム」とは?

A.都道府県をまたいで移動する修学旅行は、感染リスクが高まることから、行き先や行程を変更した学校も多くありました。中でも注目されているのが、近場での小規模な旅行である「マイクロツーリズム」です。
移動が少ないので、感染リスクが減ることはもとより、自分たちの住む地域の知らなかった魅力を発見できるなどのメリットがあります。観光関係者や観光施設、自治体などが協力して、近距離で完結できる修学旅行のプランの提案も始まっています。
最近の修学旅行では、教科や総合的な学習の時間、持続可能な開発目標(SDGs)などと結び付け、体験やフィールドワークの要素を取り入れることも増えています。探究的な学びにつながる修学旅行の新しいスタイルとして、定着していくかもしれません。

実施する場合の注意点は?

修学旅行先が地元にシフトした場合でも、感染予防策は必須です。バスは増便して「密」を避ける▽マスクや手洗いは、学校で過ごすのと同じように行う▽食事は声を出さずに食べる▽1部屋あたりの宿泊人数を減らす……など、通常の修学旅行とは異なる、さまざまな配慮や負担も求められます。
感染症対策や計画の変更で生じた費用については、自治体に配分される「地方創生臨時交付金」を活用できることになっています。安全に楽しく、家庭への負担も軽減した修学旅行を実現するためにも、自治体の積極的な対応を期待したいものです。

(筆者:長尾康子)

※文部科学省 Q&A(学校設置者・学校関係者の皆様へ)
問2 今年1月の緊急事態宣言下での修学旅行の実施について、文部科学省はどう考えているか。【1月20日更新】
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00040.html#q2

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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