コロナ禍での大学の対応に納得しているのは85% オンライン授業が多い大学の対応のポイントは?

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2020年に猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、21年に入ってすぐ、2度目の緊急事態宣言が出されるなど、収束にはまだ先が見えない状況です。大学では、どのような対応を取ってきたのでしょうか。20年末に公表された文部科学省の調査をもとに、見ていきましょう。

この記事のポイント

対面授業が半分未満でも学生は納得

2020年春、新型コロナ対応として、大学の授業は一斉にオンラインに移行しました。しかし次第に、入学して一度もキャンパスに通えない新入生の存在に注目が集まりました。
そこで文科省は、対面授業を積極的に実施するよう大学側に求めるとともに、大学や短大、高等専門学校などの一部を対象に、調査を行いました。

その結果、対面授業の実施割合が「半分以上」が50.4%、「半分未満」が49.6%となりました。
対面授業が半分未満の大学では、「ほぼ全ての学生が、授業の形態等について理解・納得している」「大多数の学生が、授業の形態等について理解・納得している」を合わせると約85%の大学で、学生が納得していることが明らかになりました。

大学発のメッセージやフォローがポイント

対面授業が半分未満で、オンラインに比重を置いている大学では、どのように「学生の納得感」を得ているのでしょうか。調査からは、以下のように「学生に寄り添った対応」に努めていたことがわかりました。

  • ・大学が考慮した事項を学生に丁寧に説明する
  • ・学長・学部長メッセージを発信する
  • ・図書館などの学内施設の開放や、学生同士が交流できる機会を設定する
  • ・教職員が勉強会を開催しオンライン授業の質の向上に努める
  • ・学生からのオンライン相談に丁寧に対応する

大学の工夫例として、全国の国公私立大学の取り組み例も紹介しています。
聖心女子大学では、学長メッセージとして「ひとりも取り残さない」と新入生に後期授業の基本方針を伝え、オンラインでも成績評価に不利にならないと説明しました。
大阪府立大学では、感染対策を講じた上で、大学図書館を利用可能にし、貸出図書や複写資料の郵送サービスも行っています。
明治大学では、オンラインによる学生相談や就職相談を活発に行っています。

オンラインが避けられない理由も

学生の多い総合大学では、対面授業を増やせない理由もあります。早稲田大学は、約5万人の学生が在籍していることから、「クラスターの要因になりやすい」として、秋学期の授業形態は「ほぼ遠隔」と回答しました。学内アンケートによれば、約69%の学生が授業のオンライン化に理解を示しています。
調査結果の公表と前後して、再びコロナの感染が拡大し、同大学は2021年1月5日に年度末までの授業方針を公表。対面とオンラインの併用を継続し、新年度は7割をキャンパスでの対面授業にすることを目指し、教室の空調設備の入れ替えなども済ませたと説明しています。

まとめ & 実践 TIPS

対面授業が「半分未満」の大学の対応を見ると、感染状況や学校の規模などに応じて、両者を使い分けて併用しています。オンラインか対面か、といった二項対立に陥らず、状況に応じて切り替えられ、学習や交流が途切れない取り組みができる大学が、学生や保護者の納得感が高い「ニューノーマル」(新常態)な大学と言えそうです。

(筆者:長尾康子)

出典:
※文科省 新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/index.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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