あれから1年、学校のコロナ対策の変化 「マウスシールド」「フェイスシールド」の効果は?

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新型コロナウイルス感染症が世界で確認されてから、約1年が経とうとしています。収束の見通しは立たないものの、さまざまなことがわかってきました。学校でのコロナ対策も、変わってきています。文部科学省の学校の衛生管理マニュアルから、見てみましょう。

この記事のポイント

地域一斉の臨時休校はしない方向

2020年12月に公表したマニュアルは、バージョン5となっています。同年5月に初版が出されてから、最新の情報や知見に基づいて、見直しが行われてきました。今回は大きく三つの変更点があります。

一つは、感染拡大地域で、小中学校の地域一斉の臨時休校は、基本的に避けるべきだと明記したことです。それまでは、感染が拡大して警戒度を上げなければいけない場合、分散登校やオンライン学習を検討し、学びの継続に取り組む、としていました。しかし今回は、子どもの学びの保障や心身への影響の観点から、避けるべきだと示しました。家庭内感染が、小学生で73%、中学生で64%と、大部分であることを踏まえてのことです。

児童生徒や教職員に感染者が発生した場合の考え方も、整理されています。これまでは、感染が確認されたら、直ちに臨時休校するという対応だったのを見直し、保健所と相談のうえで判断することになりました。

学校現場の状況を見ると、感染者が発生した1,996校のうち、臨時休業を実施しなかった学校が55%(1,106校)、学校全体の臨時休業を行った学校が26%(517校)、特定の学年・学級の臨時休業を行った学校が15%(297校)となっています。

マウスシールドは使うなら距離を保つ

二つ目は、口元だけを覆い、上部が開いている透明な「マウスシールド」の使い方について、注意喚起している点です。前のマニュアルの「フェイスシールド」の項目に加わりました。マウスシールドは、フェイスシールドと同じく、マスクに比べて効果が弱いことに留意する必要があるとされています。

授業の中で先生が顔の表情を見せたり、発音のために口の動きを見せたりするために使う場合は、子どもとの間で、身体的距離を取ることを呼びかけています。

暖房のある部屋でも暖かい服装を

三つ目は、冬季のコロナ対策です。窓やドアを開けての常時換気は学校で定着してきているところですが、冬場も続けなければなりません。外の冷たい空気が教室に入ることで室温が下がり、健康被害が生じやすくなります。
暖かい服装を心掛け、換気の方法も工夫する必要性を示しています。北海道のような寒冷地での換気の工夫は、別資料を付けて紹介しています。

まとめ & 実践 TIPS

今回改訂されたマニュアルを読むと、全国一斉休校要請や、緊急事態宣言といった強力な手段が取られない限り、昨年のような地域一斉の学校休校はなさそうです。
2020年度の第3次補正予算案では、学校の新型コロナ感染拡大防止に341億円を計上し、消毒液や非接触型体温計の購入費や、消毒作業の外注費などに充てる予定です。学校の感染予防策も進みますが、一人ひとりが感染予防の気を緩めないよう、対応を続けていきたいものです。

(筆者:長尾康子)

出典:
※文部科学省 新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~(2020.12.3 Ver.5)
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00029.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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