英語を中心とした「外国語教育」はどう変わる? 2020年以降の小・中・高の内容とは【新学習指導要領】

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インターネットや機械・技術の発達、そして進む少子高齢化を視野に入れ、今後の日本の教育は「グローバル化・ICT化」へと前進する道筋をつけました。そのひとつとして大きな役割を担うのが、平成29年・30年版として改訂された「新・学習指導要領」です。

「学習指導要領」とは、全国どこの学校でも一定の水準が保てるよう、文部科学省が定めている教育課程(カリキュラム)の基準のこと。これは時代の変化に合わせて約10年ごとに改定されていて、このたびは小学校で2020年から、中学校で2021年から、高校で2022年から順に実施されていきます。

今回の改定で、英語を中心とした「外国語教育」についても大きく変わっていく見込みです。目的・ビジョンをしっかりと把握して、効果的な学びへ生かしましょう。

この記事のポイント

小学校の「外国語教育」変化の内容は?(2020年から)

2020年以前の小学校の「英語・外国語教育」は、中学校で本格的に始まる授業へ向けての≪慣らし期間≫のようなものでした。しかし2020年以降からは、小・中・高校通して「聞く」「話す」「読む」「書く」を身に付けるための最初のステップとするために、約600~700語を学びつつ英語を使いながらやり取り・発表などの活動をおこないます。

まず3・4年生では主に週1コマで「活動」として、聞くこと・話すことを中心に学習。5・6年生では週2コマで「教科」として、音声に十分慣れ親しんだ上で段階的に「読むこと」「書くこと」を学んでいきます。学校にもよりますがALT(外国語指導助手)や専門の指導教員も配置しつつ、実用的な英語能力を身に付けることを目指します。

中学校の「外国語教育」変化の内容は?(2021年から)

中学校になると、小学校での学びを生かしつつ、さらに「自分で考えて伝えること・対話的な活動」などをプラスしていきます。今までは1,200語程度だった学びを1,600~1,800語に増やし、授業は基本的に外国語で行いつつ、実用的な言語活動を学んでいきます。

・CEFRのA2までを視野に入れた学習

授業数は今までと同じ週4コマですが、内容的には非常に濃く充実したものに変わります。基準としてはCEFR(セファール・外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠)の「A2」、
“ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる。”
(文部科学省 各資格・検定試験とCEFRとの対照表(附属資料①)より)
までの習得を視野に入れて学びます。

現行の中学校外国語教育では「A1」までだったため、新しい学習指導要領ではかなり英語・外国語教育の底上げをしていくことになります。

高校の「外国語教育」変化の内容は?(2022年から)

さらに高校では、小・中学校で学んできたことを生かしつつ新たに1,800~2,500語ほどを学び、「聞く」「話す」「読む」「書く」を駆使して自分から外国語で発信・コミュニケーションをとるための学びをおこないます。

・CEFRのB1までを視野に入れた学習

CEFRのB1はA2よりも1段階うえの段階を表し、
“仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。
その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる。”
(文部科学省 各資格・検定試験とCEFRとの対照表(附属資料①)より)
となっています。

高校卒業までにここまでレベルを高めることができれば、個人によっては高校卒業後の海外での活動も非常にハードルが下がると言えるでしょう。

・底上げするからこその課題も

高校では小・中学校での学びを生かした学習となるため、入試の時点でスピーキングテストをおこなう学校も増えてきています。英語・外国語以外の教科も「考える力・発信する力」が重要視されることになるため、お子さまの個性によっては難しい・苦手だと感じてしまい、英語力・勉強への意欲に大きな差が出てしまう可能性も。

まとめ & 実践 TIPS

新学習指導要領の実施により、全体的にかなりレベルが上がると考えられる英語・外国語教育。課題も多いですが、教材を充実させたり教師の学び対応に力を入れたりと、確実にステップアップのための環境整備は進んでいます。

数十年後のグローバルな社会で活躍する子どもたちのために、家庭でもお子さまに合った学びのサポートをしてあげられるとよいですね。

出典:文部科学省「新学習指導要領全面実施に向けた小学校外国語に関する取組について」
URL https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/__icsFiles/afieldfile/2019/09/11/1420968_2.pdf

出典:文部科学省「学習指導要領の基本的なこと」
URL https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/idea/index.htm

出典:文部科学省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」
URL https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/03/__icsFiles/afieldfile/2019/01/15/1402610_1.pdf

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