「敷居が高い」=「高級で入りにくい」は間違い!変化する慣用句の解釈と、広がる新しい表現

「就活」「婚活」「パワハラ」などの表現を、使ったり聞いたりしても違和感がない、という人は多いのではないでしょうか。文化庁の調査によると「~活」「~ハラ」は、若者から高齢者まで、幅広く浸透しています。こうした新しい表現が広がる一方、以前から使われてきた慣用句の解釈にも、変化があるようです。

この記事のポイント

漢字で意味が捉えやすい「~活」

文化庁は毎年、日本人の国語に関する意識や理解の現状を調べるため、「国語に関する世論調査」を実施しています。最新の調査は、2020年2月から3月にかけて、全国16歳以上の男女3557人を対象に行われました(有効回答率56.1%)。

「~活」「~ハラ」などの表現について、印象を尋ねたところ、「~活」を「他人が言うのは気にならない」と答えた人は90.6%で、「自分は使う」と答えた人も54.4%に上りました。
最近では、子どもを預ける保育園を探す「保活」や、自分が亡くなったあとの手続きを前もって準備する「終活」が話題になるなど、世代ごとに直面する課題に、積極的に取り組む意味で使われています。「活」の前に付く言葉が、漢字1文字で、意味を把握しやすいのも特徴です。

ハラスメントとは「嫌がらせ」

セクハラ、パワハラに代表される「~ハラ」も、浸透してきました。「他人が言うのは気にならない」は82.5%、「自分は使う」は58.1%でした。
「ハラ」はハラスメントの略で、「嫌がらせ」の意味です。大学などで優越的な立場を利用して教員や学生にいやがらせをするアカデミック・ハラスメント(アカハラ)、妊娠・出産を理由に不利益な取り扱いをするマタニティ・ハラスメント(マタハラ)も、知られるようになってきました。

嫌がらせ行為は人間の尊厳を傷つける、という理解を広める上で、「~ハラ」の汎用性は高いといえます。しかし、何にでも付けて、新語を作るだけでは、問題の解決にはつながりません。相手を個人として尊重する人権意識を、社会全体で高めていくことが大切でしょう。

本来の意味とは違う解釈も

新しい表現が生まれる一方、本来の意味とは異なって受け止められる慣用句もあります。
調査では、「手をこまねく」を、本来の意味とされる「何もせずに傍観している」だと思う人は37.2%でしたが、本来の意味ではない「準備して待ち構える」だと思う人が47.4 %と、逆転した結果になっています。

まとめ & 実践 TIPS

「敷居が高い」の本来の意味は、「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」(回答29.0%)です。これについても、「高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」(同56.4%)と思っている人が、半数を超えました。
「え、そうなの?」と思ったら、親子で調べてみてはどうでしょうか。言葉の意味や、使われ方の変化を「面白さ」と捉えて、子どもたちの言葉や文章への関心を高めていきたいものです。


(筆者:長尾康子)

※文化庁 2019年度「国語に関する世論調査」の結果について
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/index.html

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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