自然に触れたあとは学習意欲が上がるというデータも! 「直接体験」が子どもに育むもの
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テレビやインターネットを見ることが当たり前になっている今、子どもたちが直接体験する「体験活動」の重要性が指摘されています。間接的な体験や知識であれば、メディアを通じて広げることは可能ですが、直接体験を積むことは難しいでしょう。子どもたちの学びの意欲向上につながる「体験活動」について、その理由や家庭でできる取り組みを紹介します。
いつからでも子どもに身につけさせたい「社会情動的スキル」とは?
「社会情動的スキル」の定義は多岐にわたりますが、感情の抑制・他者との協働・目標の達成といった力のことを指します。文部科学省が2019年から実施している教育改革で定義されている、すべての子どもに育成すべき「資質・能力の3つの柱」の3つめである「学びに向かう力、人間性」が、この「社会情動的スキル」と同義になります。
「社会情動的スキル」を向上させることにより、子どもの「主体的に学習する能力」を高められる可能性が指摘されています。社会情動的スキルを身につけるためには、乳幼児期にしっかりと基礎固めをすることが大切であることが分かっていますが、同時に生涯伸ばすことができるスキルであると言われています。
つまり、乳幼児期の基礎固めが不十分だったとしても、子どもの学ぶ意欲はいつからでも向上させてあげられる可能性があるのです。
体験活動が「自ら学びに向かう力」を育む!
体験学習が重要視されているのは、体験活動によって「自ら学びに向かう力」が育まれると考えられているからです。
文部科学省が実施した調査では、「自然に触れる体験をしたあと、勉強に対してやる気が出る子どもが増える」という結果が出ているものがあります。体験活動で日常生活と違うことをするなかでは、課題にぶつかり解決しようと工夫したり、「なぜ」といった疑問が生まれたりすることを自然に繰り返します。このことは、課題発見能力や問題解決能力を高めることに繋がるでしょう。
さらに、体験活動を集団で行うことは、一生を通じて身に着けておきたい「相手の気持ちや立場を考える想像力」「物事に対して自発的に取り組むこと」といったスキルを身につけることにも役立つと考えられます。
家庭でもできることから「体験活動」を取り入れよう
「家庭で取り組める体験活動」には、どのようなものがあるでしょうか。例えばキャンプは、大自然に触れられ、非日常や不便な環境から多くの学びが得られる体験活動の1つですが、実施のハードルが高いこともあるでしょう。
「体験活動をしよう!」というと大がかりな企画をしなければならないと思いがちですが、「自然に触れる」ということは、例えば家庭菜園で土いじりをすることでも可能です。小学生向けに「できる」と公開されているYouTubeのレシピ動画を親子で実践するということでも、間接的な体験を実体験に変えることができます。
コロナの影響で、ただでさえ学校行事が制限されている状況がありますが、学校側で用意できる体験活動は縮小したり、形を変えて実行されたりすることが今後も続く可能性があります。学ぶ環境が変わることで、子どもにとっての学びの機会がなくなってしまうことは避けたいもの。「体験活動」が足りていない! と過敏になる必要はありませんが、日常の延長線上で、子どもに体験させられる機会があれば、取り入れてみるとよいでしょう。
まとめ & 実践 TIPS
「我が子は主体的に学びに取り組む子どもに育ってほしい」と願う保護者の方もいらっしゃるでしょう。もちろん、子どもが学びに向かっているときに励ましの言葉をかけるなどのフォローの方法もありますが、一見学びには直接関係のなさそうな体験学習を通じても、子どもの学びの意欲は育てることができます。身構えすぎず、子どもの経験を増やしてあげるような感覚で、ご自宅でも体験活動の機会を作ってみてはいかがでしょうか。
出典
文部科学省
「体験活動事例集-体験のススメ-[平成17、18年度 豊かな体験活動推進事業より] 1.1.体験活動の教育的意義」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/055/003.htm
出典
文部科学省
「中央教育審議会
幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)持続可能な社会づくりに関連する記載(抜粋)」
https://www.mext.go.jp/unesco/002/006/001/shiryo/attach/1407469.htm
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