今の日本は格差社会? 勉強だけじゃない「体験・経験」 を絡めた教育の実践方法とは

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バブル崩壊やリーマンショックなどさまざまな金融危機も相まって、厳しい家計状況の家庭が多い現在の日本。さらには2020年からは新型コロナウィルス感染拡大の影響により、働き方も大きく変化してきています。

以前より注目されている「格差」に負けないために、収入が多くないなかで子どもにどのような教育をおこなえばいいのか、どこに力を入れるべきか? これからの子育てについてしっかりと考えていきましょう。

この記事のポイント

低所得・共働きで「時間」のない子育て家庭

厚生労働省による「平成30年 国民生活基礎調査の概況」によれば、世帯所得の分布状況は中央値423万円であり、平均所得金額(551万6千円)以下の割合は62.4%となっています。このなかには子育て世帯だけでなく単身世帯や高齢者世帯も含まれますが、全体的に高いとはいえない現状です。

とくに子育て世帯は共働きの家庭も多く、家計を支えるために働かざるをえず、子どもと過ごす時間を多く取れない場合もあります。さらには小学校高学年・中学生頃になると塾や習い事による家計負担もさらに大きくなり、貯蓄にまで回す分がなくさらなる時間の捻出も難しい、という悩ましい問題も起こりがちに。

そして実際に大きな学費が必要となるのは高校を卒業してからです。今まで貯めることが難しかったのに急に大きな学費がのしかかることになれば、希望よりも安い学費の学校へ行く、通う本人がアルバイトをするなど「勉強に全力で向かえない」状況となり、悪循環になってしまう可能性も。

教育は勉強だけじゃない? たくさんの経験・体験が重要

これからの日本の教育は、
・さまざまな体験を通して得た知識をさらに考え、新しい発見につなげる力
・なぜ? という疑問を感じ、いろんな視点から検証し、解決していく力
・未経験の出来事にも柔軟に対応するため、きちんと判断する力
などが重要視されていきます。

それらを複合的に育てていくことにより楽しく学べ、基礎学力も向上していくことが期待できます。要はただ学力をつけるだけではなく、社会に出て自分の意志で道を決めて行動できること、グローバル社会のなかで生きるための柔軟な考え方・多様性を認めることなどが必要になってくるのです。

そのため、家計に無理をしてまで「塾へ行かせないと」と思う必要は基本的にありません。小さなうちからいろんな体験のなかで、幅広い「なぜだろう? こうしてみよう」を感じて実際に経験し、いろんな可能性を考えられるようになることが大切です。

■レオナルド・ダ・ヴィンチに学ぶ「興味に従う生き方」

「モナ・リザ」や「最後の晩餐」などの絵画を残した画家として有名なレオナルド・ダ・ヴィンチですが、画家として以外にも建築や医学・気象や土木などさまざまな方面において知識を持ち、天才との評価もあります。

才能にあふれた彼の生涯は幼少期からの英才教育のたまものか……と思いきや、実は子ども時代、一般的な「正式な教育」は受けていないと言われています。基本的な読み書きや数学などを学んだ以外は、多くの学習を自分の興味に従っておこない、結果的に素晴らしい功績を残しました。

現在の日本は義務教育となる公立小学校でも、基礎となる読み書き以外にさまざまなことを学べる状況にあります。しかしそれをうまく生かせるか、自分の経験に絡めて新たな疑問・発見を見つけられるかは、教育を受けるお子さまのとらえかた次第だといえるのかもしれません。

日常でできる「経験・興味」を増やす方法

経験や興味を増やすためにはキャンプや旅行などの「非日常」ももちろんあったほうがよいですが、一番大切なのは「保護者がお子さまの興味をつぶしてしまわないこと」です。

お子さまの「こうしたい・やってみたい」は日常のなかでたくさん生まれてきますが、保護者の時間がなかったり、ムダに見えたりすることは「また今度ね」「そういうことはしないで」などの言葉で消えてしまいがちです。見守りが必要であったり掃除の手間が大変だったりもしますが、できるだけやりたいようにやらせてあげるのがベターです。

■大切なのは「ひとつの結果にいろんな見方がある」のを伝えること

そのときにおすすめなのが、その「やりたいこと」に関していろんな見方があることを教えることです。お子さまが「失敗」ととらえても、保護者から見れば「ここが新しい・ここが今までと違う・これができるようになった」などいろんな発見があるかもしれません。それをお子さまにきちんと伝えて、「ものの見方はたくさんある」ことを教えましょう。

もちろん塾や習い事に関しても、学習しながら友達とのコミュニケーション、そこから得られるいろんな情報も学び・経験となります。要はお子さまが「やりたくないのにやらされている」のではなく「やりたいからやっている」という意識を持って行動できることが大切です。

まとめ & 実践 TIPS

格差はいつの時代・どこの国でも大なり小なりあるもので、まったくゼロにはならないかもしれません。しかしそれをきちんと受け止めて、できることをコツコツと積み上げていけばきっと素晴らしいスキルとなります。

ただ、根底となる格差をなくすためにきちんと声を上げるのもとても大切。保護者もお子さまも、いろんな体験や経験を踏まえてしっかりと自分の考えを持ち、正しく発信してより暮らしやすい社会にしていけるとよいですね。

出典:厚生労働省「平成30年 国民生活基礎調査の概況」
URL https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa18/dl/03.pdf

出典:文部科学省「平成29・30年改訂学習指導要領リーフレット」
URL https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/02/14/1413516_001_1.pdf

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