電子黒板を小学校で使うメリット・デメリットは? 普及への課題も
- 教育動向
これからの情報社会に向けて学習指導要領改訂も行われ、情報活用能力の育成とICTを活用した学習活動へ進み始めた日本の教育。しかし授業の内容をより分かりやすく濃くするためのアイテム「電子黒板」に関してはなかなか普及していない現状があり、メリットは大きいものの、課題も多く挙げられています。
この記事のポイント
小学校で電子黒板を使うメリットは?
そもそも電子黒板とは、その名の通り黒板のように文字や絵などを自由に書けるホワイトボードなどのことです。画面を映し出すものはテレビのようなディスプレイやプロジェクターになり、タッチペンやペンツールが付いているため、表示された内容に自由に書き込むことができます。
今ある一般的な≪黒板≫は、何もないところに文字や絵を書いて説明していきます。そのため地図や表などを使うときは別の資料を用意する必要があり、準備に時間を取られがち。しかし≪電子黒板≫の場合は、あらかじめ準備されたデータを画面に映し、なおかつそれに要点を書き加えながら説明ができます。
動きがあるものは動かしながらその様子が確認できて、先生の手書きだけでは難しいことも明確に伝えやすいというメリットがあるため、細かくて分かりやすく、理解しやすい説明・授業を行える可能性が高まります。また、チョークを使わないので汚れを気にしなくて済み、消耗品にかかるコストを抑えられる面も。
電子黒板のデメリットは?
とても便利に感じる電子黒板ですが、平成30年の調査では、普通教室の電子黒板整備率はわずか26.8%となっています。平成29年の調査では24.4%だったのでわずかに上昇したものの、普及が進んでいるとは言えないのが現状です。
この原因としては費用面など様々な問題が考えられますが、電子黒板には以下のようなデメリットも挙げられます。
・画面が小さいため、たくさんの情報を見せたままにできないこと
・機器のトラブルが起こると授業が予定通りに進まなくなってしまうこと
・精密機械であるため、とくに小学校低学年クラスでの破損の心配
・とめ、はね、はらいなど、タッチペンでは微妙な表現が困難
とはいえ、やはり「電子化」のメリットは大きく、文部科学省も100%の普及率を目標としています。どのようにデメリットをクリアしていくかが今後の課題といえるでしょう。
それぞれの機器との連携がポイントに
電子黒板を使ういちばんのメリットは、通常の黒板と違って「書いたものを保存して残しておける」というデジタルな部分です。先生が黒板に書いたものを子どもたちがノートに書き写す場合は、ミスや抜けがあった場合、振り返るのが難しくなりがち。しかし電子黒板やタブレットを使えば、いつでも情報を呼び出して全員が間違いなく同じ情報を共有することができます。
そのため電子黒板がより重要となってくるのは、教室に1台のパソコンや1人1台のタブレットなど、もっと学校におけるICT化が進んだ先になるかもしれません。
まとめ & 実践 TIPS
「連携できる機材が少ない」「先生も使いこなすための勉強が必要」など現状では課題の多い電子黒板ですが、学校のICT化が進むにつれ、より便利に活用できる可能性が高くなります。多くの子どもたちに平等に学ぶ機会が与えられるよう、より早く、より確実に環境が整備されていくとよいですね。
出典:文部科学省「電子黒板を活用した授業実践に関する調査研究」授業がもっとよくなる
電子黒板活用
URL https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/09/pamphlet.pdf
出典:文部科学省「教育の情報化の現状と今後の方向性」
URL https://www.soumu.go.jp/main_content/000605717.pdf
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