小中学生への1人1台端末、いつ配られる?補正予算2,292億円追加のGIGAスクール構想
- 教育動向
2020年度の小学校から本格実施に入った新学習指導要領では、情報活用能力の育成が重視されています。それを実現するためにも、情報通信技術(ICT)機器や、通信環境の整備は欠かせません。新型コロナウイルス感染症の収束が見えないなか、オンライン授業への期待も引き続き高まっています。現状は、どうなっているのでしょうか。
この記事のポイント
休校中は紙の課題が多数派
この春、新型コロナの影響で、リモートワークによる在宅勤務に移行した保護者も少なくなかったことでしょう。政府の緊急事態宣言が解除された後も、ニューノーマル(新しい日常)の働き方として、リモートワークを維持する動きもあります。
お子さんたちの通う学校は、どうだったでしょうか。文部科学省の調べによると、4月16日時点で「同時双方向型のオンライン指導を通じた家庭学習」の実施率は、自治体レベルで5%にとどまりました。多くの学校では、紙ベースの家庭学習が主体で、リモート学習が実現するには程遠い状況であることが、明らかになりました。
「GIGAスクール構想」を前倒し
かねてから文科省では、ICT環境の整備計画を立てて、財政措置を講じてきました。しかし、その成果は、なかなか目に見えてきませんでした。
そこで、2019年12月に打ち出されたのが「GIGAスクール構想」です。小中学生に1人1台の学習用端末と、高校も含めた高速大容量の通信ネットワークを、一体的に整備する構想です。まず、19年度補正予算案に2,318億円が盛り込まれました。
年が明けて、新型コロナ拡大防止のため臨時休校措置が長引いたことから、ICT環境の一刻も早い整備が必要となりました。そこで国は、2020年度第1次補正予算で2,292億円を追加し、整備の前倒しを各自治体に要請したのです。
端末配備済み自治体は2% 7割は3学期
児童生徒向け端末の納品が完了したのは、8月末現在で37自治体。全国の2%にとどまっています。他の自治体の納品予定は、12月までの2020年内が27.4%、2021年1~3月の20年度内予定が70.2%となっています。これから整備が行われる自治体では、1人1台端末を使えるようになるのは、年末か3学期ということになりそうです。
まとめ & 実践 TIPS
自治体が学校に端末を行き渡らせるといっても、個人や家庭でタブレットを購入するようにはいきません。議会で予算の承認を経てから、業者をする選定といった、調達の手続きを踏まなくてはなりません。
文科省は、先進自治体の取り組みとして、▽小学6年と中学3年生分を優先して納品する(北九州市)▽貸出用端末を先行して納品する(京都市)▽最短納入可能時期を各メーカーにヒアリングし早期納品を実現(福岡市)……などの工夫を紹介しています。
世界的にコンピューター端末の需要が拡大するなか、納品までの間、ICT環境が整っていない家庭への対応も含めた、各自治体の奮起が期待されます。
(筆者:長尾 康子)
※文部科学省 GIGAスクール構想の実現に向けた調達等に関する状況(8月末時点)について(速報値)
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/mext_00921.html
※文部科学省 新型コロナウイルス感染症対策のための学校の臨時休業に関連した公立学校における学習指導等の取組状況について(2020年4月16日時点)
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00007.html
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