デジタル時代にこそ見直したいアナログ学習ならではのメリット デジタルと組み合わせる効果とは?【専門家に聞く第10回目】

近頃、幼児教育においても「デジタル学習」という選択肢が一般的になってきました。特にコロナで在宅時間が増えた今、家庭でできる習い事や遊びの延長として「デジタル学習」を取り入れるご家庭も多いようです。そこで今回は、あえて「アナログ学習」のメリットに触れてみたいと思います。さらに、デジタル学習と組み合わせることで得られる効果についてもご紹介します。お話を伺ったのは、幼児教育とデジタルメディアの関わりを長年研究されている、愛知淑徳大学の佐藤朝美先生です。

この記事のポイント

リアルな感覚の中で学ぶことの大切さ

デジタル学習には「手軽に」「何度でも」学べるというメリットがあり、お子さんが楽しく学習できる工夫が詰まった魅力的な学習方法です。近頃では幼児期から取り入れているご家庭も多くいらっしゃいますよね。しかし、デジタル学習だけに注力して、現実での体験や学びをおろそかにしていては意味がありません。たとえば、覚えた文字を使って手紙を書いたり、自分一人で絵本を読んだり、学んだことを日常のリアルな場面で生かすことが、本来の学習の目的です。鉛筆を手で持つ、ハサミをつかむ、といった日常で欠かせないスキルもデジタルでは決して習得することができませんので、「アナログ」な動作にも日頃から取り組ませるようにしましょう。

幼児期に重要なのは手指の感覚をはぐくむこと

幼児期のお子さんにとって、特に大切にしていただきたいのは手指の感覚をはぐくむ体験です。モンテッソーリ教育を例に挙げると、幼児に数の概念を教える際、ビーズを活用します。手に持たせてみて、1個よりも10個のほうが重たく、10個よりも20個のほうが重たくなるということを体験して覚えさせます。このように「感覚的に」学ぶことは、幼児期においてとても重要だと言われています。

クロスメディアを上手に活用しよう

アナログ学習とデジタル学習、どちらが良いかということではなく、それぞれの良さを取り入れて上手に活用していくことが大切です。デジタル学習で覚えたひらがなや数を、日常の遊びの中に取り入れてみたり、デジタルの世界で興味を持ったことを、図鑑や本でより詳しく調べてまとめてみたり、大切なのはお子さんの興味・関心を深める手段として、その都度最適なやり方を選択していくことです。

たとえば、紙の絵本で楽しんだりデジタル絵本を体験したりDVD映像で見たりなど、同じ物語を色々なメディアで味わうこともより深い物語理解につながります。「Oh! The magic drawing app」は、しかけ絵本「Oh! mon chapeau」をもとに、絵本作家が作成したアプリです。10種類のカラフルな図形を画面の中央にスライドさせると、図形が突然、空想的な絵に変身します。紙のしかけ絵本の世界観をデジタルで遊びながら自分の表現につなげることができます。
紙かデジタルかの選択ではなく、それぞれのメディアの良さを体験できるといいですね。

参照:「Oh! The magic drawing app」アプリ
https://apps.apple.com/jp/app/oh-the-magic-drawing-app/id977170314

まとめ & 実践 TIPS

特に幼児期においては、実体験の中でこそ学べることや習得できるスキルがあります。それをおろそかにして、デジタル学習にだけ取り組んでいては意味がありません。手指をはじめとした五感をフルに活用しながら、さまざまな体験を通じて学んでいけるようサポートしてあげましょう。そのうえで、デジタル学習を上手に取り入れてお子さんの興味・関心をさらに深めていけると良いですね。

プロフィール

佐藤朝美(さとう・ともみ)

愛知淑徳大学人間情報学部准教授。博士(学際情報学)。東京大学大学院学際情報学府博士課程、情報学環助教、東海学院大学子ども発達学科を経て現職。教育工学、幼児教育、家族内コミュニケーション、学習環境デザインに関わる研究に従事。日本子ども学会(理事)。オンラインコミュニティ「親子de物語」で第5回、「未来の君に贈るビデオレター作成ワークショップ」で第8回、「家族対話を促すファミリー・ポートフォリオ」で第11回キッズデザイン賞を受賞。

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