企業の社会貢献活動、教育関連をオンラインで 遠隔地でも理科実験を可能に

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企業や団体が行う社会貢献活動(CSR)の中には、学校や子どもなど、教育に関わる取り組みがあります。新型コロナウイルス感染症の影響で、学校現場に赴くことが難しくなるなか、出張講座のオンライン化の模索が始まっています。遠隔地との交流など、オンラインならではのよさも生かして、子どもと社会との接点をつくる新たな試みが期待されます。

一斉休校で出張授業ストップ

コロナ禍が広がるなか、社会や教育の在り方が、大きく変わろうとしています。企業が行ってきた次世代育成・支援の社会的責任も、新たな形が求められています。

教育に関するCSRの一つに、社員が講師として学校に出向き、講話やワークショップ、実験などの授業を行う「出張授業」(出前授業)があります。その企業が持つ知識や技術、考え方などの一端を教育プログラムとして企画し、提供するものです。普段の授業では味わえない体験を通して、▽新しい気付きを得る▽社会の仕組みを知る▽将来の夢のきっかけになる……など、さまざまな効果があると言われます。

しかし、新型コロナの感染拡大予防のため、こうした出張授業は3月からほぼストップしてしまいました。学校が一斉休校になったうえ、企業側も、休業対応やテレワークの推進、感染予防策の徹底など、対策に追われたからです。

遠隔地でも理科実験を可能に

4月16日に緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大され、多くの学校で5月末まで休校を延長する動きが見られるようになると、これまで出張授業を中断してきた企業側も、対面以外の方法を模索しはじめました。

食品大手の明治は、食育をメインテーマにした出前授業を続けてきましたが、このほどオンラインで実施する体制を整えました。同社では「野菜を育てて観察しよう!」「冷蔵庫を使わずにアイスクリームを作ろう!」など、家庭でもできる自宅学習のコンテンツも充実させています。

無臭元工業はCSR活動として、昨年度から開始した親子向け理科実験教室を、5月にオンライン化して実施しました。高吸水性ポリマーに水を吸収させる実験や、食品のペーハー(pH)を調べる実験をするため、事前に安全性の高い実験キットを家庭に送り、講師側もカメラを複数台用意して手順がわかるよう工夫。全国から集まった参加者の≪友達の輪≫も、画面越しに広がったといいます。

まとめ & 実践 TIPS

出張授業のオンライン化が進めば、企業と学校とが遠隔地にあっても、実施しやすくなります。現在も自粛が続いている工場見学なども、形を変えて可能になるかもしれません。企業と学校をつないでクラスや学年で視聴したり、子ども一人ひとりが家庭にあるタブレットなどから視聴したりするなど、受講の方法も広がってくるでしょう。
感染防止のため、外出の機会や集団行動が制限されるなか、「開かれた学校づくり」も壁に突き当たっています。子どもたちと社会の接点を減らさないためにも、オンラインツールの幅広い活用と、それを可能にするICT(情報通信技術)環境整備が急がれます。


(筆者:長尾康子)

※無臭元工業 GW特別企画オンライン授業「トイレぼうさいキッズ」
https://www.mushugen.co.jp/csr_gw2020/

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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