アフターコロナの経済危機にも負けない教育費の準備方法

新型コロナウイルスの影響による自粛期間が少し落ち着き、行動範囲は少し広がったものの、第2波、第3波の到来に向けて、気は抜けない日々が続いています。そして、経済自体はまだまだ戻ったとはいえません。お子さまの保育園や学校が休園・休校などで仕事を休まざるを得なかったり、当分仕事に出なくてもよいと言われたりして経済的に打撃を受けたかたもいるでしょう。そんな中、教育費のための貯蓄を考えるなんてとんでもないかもしれません。ただ、今回のコロナ危機の影響により、5人に1人の大学生が大学を辞めることを検討しているという報道さえされました。急な経済危機にも対応できるよう、今回は長期で準備する教育費の準備方法を考えてみます。

「子どもの教育費はどこからどこまでを考えるべきか」

今や大学まで進学する子どもは50%を超えています。大学までいくのかどうかは子ども次第ということになるでしょうが、少子化で大学は全入時代に突入しています。友達が行くから私もという感じで、軽く進学する子も普通にいると考えるべきでしょう。

親としては、大学入学時に合わせて教育費を準備するのが必須だと言えます。「大学は奨学金で行けるでしょう」というのは誤解です。給付型奨学金制度が今年の4月より創設されていますが、住民税非課税世帯など、実際の条件は細かく決められていますので、大学の進学から卒業までの費用をすべて奨学金でカバーするという希望的観測は甘いと言わざるを得ません。

もちろん、子どもにアルバイトをさせるという選択肢もありますが、今回の経済危機では、アルバイト先が休業したり、売り上げが落ちてくると真っ先に切られてしまうのはアルバイトの学生であったりしました。子どもが高校生までは通常の教育費を支払いつつ、来たる大学の費用を準備するということで、教育費の準備は子どもが0歳から17歳までの18年間で長期的な貯蓄計画を立てるというのが理想的と言えるでしょう。

「教育費の準備方法には近道はない」

現時点でお子さまがいるご家庭では、児童手当・小学校休業等対応助成交付金・就学援助などの支援がそれぞれの状況に応じて支給されているはずです。今回の新型コロナの影響によって児童手当は上乗せ10,000円もありました。FPとしては、児童手当は将来の教育費として、家計の本来の収入以外は全額を貯蓄しましょうと言うお話をよくさせていただきます。今回の児童手当の上乗せを追加すると、0歳から15歳に達するまで200万円以上貯蓄できることになります(所得による特例給付やきょうだいの数による増額の影響は除外)。これだけで、大学進学までの塾代と受験料、合格後の入学金と1年分の授業料がカバーできる程度でしょう。

できることなら、初年度だけでなく4年分に少しでも近づけてあげることを目標にしたいものですが、これで「最低限」なのです。この他に子ども保険や終身保険で教育費を準備しているかたもいるかもしれませんが、生活が苦しいと保険料を支払うのも大変な時があります。今回、生命保険各社は新型コロナウイルスの影響で収入が減り生命保険の保険料を支払えない契約者に対し、保険料の支払いを最長で来年4月まで猶予すると報道されました。どのような手続きになるかは、加入している生命保険各社に問い合わせる必要があるでしょうが、新型コロナウイルスの影響で収入が減った場合には、解約を考えず、このような制度を使って継続を考えてみてください。

子どもの教育費はいったんためたら切り崩さないというのが基本です。生活費が苦しくなるのもわかりますが、児童手当や助成金などをあてにする習慣をつけてしまうと、余ったらためればよいという甘さが出てきます。教育費の準備は、目標額や月々の貯蓄額を決めたら、「変更しない」という強い意志が必要となってきます。

「いくらためる? どうためる?」

いくらためるとよいの?という質問をされる保護者はとても多いです。専門家としては、できるだけためてくださいと言うしかないのが心苦しいところですが、医療系や理系など、学費が高くなるかどうかは、子どもが小さいうちはわかりません。だからこそ、「できるだけ」という言い方になってしまうのです。貯蓄の仕方としては、通常の給与収入以外の金額は全額、プラスアルファとして、稼いだ金額のうち、毎月ためられる金額ということになるでしょう。

ため方としては、こども保険など、月々自動的にためられる商品をおすすめするところですが、相談相手によっては終身保険や外貨などの商品をすすめられることもあるでしょう。途中で解約すればよいという売り文句です。保険のうまみがどんどん減っている状況では、子どもが0歳から18歳までお金を寝かせているのはもったいないとおっしゃるかたもいます。ただ、途中で解約できると考えると、まだ時間があるから、他の用途、たとえば、家の購入などの異なる理由で解約することも可能なわけですから、別枠で管理し、絶対切り崩さないという強い意志が必須となるでしょう。

外貨も必要な時に必要金額に達しないというリスクはあります。今回の新型コロナの影響による経済支援で、各人に10万円が支給されますが、この子どもの分は「将来の受験料に充てる」ということもできます。大学の受験料は、受験方法により多少金額が異なりますが、1校につき1万8,000円から3万5,000円程度が必要ですから、受験時には、とても助かること間違いなしです。

「子どものお金に対する意識を高めておく」

大学生になったら子どもにアルバイトをさせるし、なんとなかなるだろうと漠然と考えているかたもいるかもしれません。ただ、子どもは、働きすぎると親の税金が高くなることや、奨学金が止まってしまうかもしれないこと、一定以上の金額を超えると扶養家族から外れたり、学生納付特例も外れて国民年金の保険料を支払う必要があったり、自分で健康保険に加入する必要があったりすること、などの知識を持っていません。利子のついた教育ローンや奨学金の返済についても計画を立てず、漠然と「卒業後に返せばよい」と考えているくらいでしょう。お金を稼いだら計画的に使う、収入があると税金が課税される、などお金に関する知識を小さいうちから教えてあげると、いざ働き始めても、大きな財産になるでしょう。

今回の新型コロナで経済的に打撃を受けたかたも多いでしょうが、一方、新たなお金の稼ぎ方、使い方に目覚めたかたもいます。子どもが小さいうちだからこそ、長期計画で教育費を準備する、そして子どものお金に対する意識を高めることが、危機に負けない家計づくりに直結すると言えるでしょう。

プロフィール


當舎 緑

社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャル・プランナー。資格取得をはじめ、教育・育児、マネーなど一般消費者向けのセミナー、執筆活動を行う。子どもにかけるお金を考える会(http://childmoney.grupo.jp/)のメンバー、一般社団法人かながわFP生活相談センター(https://kanagawafpsoudan.jimdo.com/)の理事でもある。金融機関での年金相談はじめ、区役所、県民相談の窓口での行政相談、病院でのがん患者就労支援相談の窓口で一般向けの相談にも応じている。家庭では3児の母でもある。

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