自由研究を通じて課題解決力や思考力を育もう

小学校で2020年度から全面実施となっている新しい学習指導要領では、世の中の情報や出来事を受け止め、他者と一緒に課題解決する力や、思考力や判断力、表現力を育むことが大切だとされています。そうした力を伸ばすのに役立つのが、課題研究や自由研究です。「持続可能な開発目標」(SDGs)を意識すると、さらに充実した内容になりそうです。

体験だけにとどめないために

新学習指導要領は、思考力、判断力、表現力などを高めるうえで、授業を「主体的・対話的で深い学び」の視点から改善することを求めています。探究型の授業や活動は今後、総合的な学習の時間だけでなく、さまざまな教科や行事などでも取り入れられるようになるでしょう。

自由研究や課題研究は、探究型の学習を、子どもが自らの力で実践するチャンスです。自由にテーマを設定できることから、子どものモチベーションや主体性が高まるメリットはあるのですが、「行ってみた」「やってみた」止まりでは、深く考える場面は生まれにくいものです。

そこでお勧めしたいのが、研究にSDGsの視点を取り入れることです。
たとえば、地域の「川」をテーマにするなら、どこを流れているのか、どんな生き物がいるのか、流域の歴史や、川をきれいにする環境保全について、調べることがあるでしょう。その時に、わかった内容や取り組みが、SDGsのターゲットのどの目標に関連するかを考えてみるのです。そうすると目標6「安全な水とトイレを世界中に」や目標15「陸の豊かさも守ろう」に関わってくるかもしれません。

SDGsは、持続可能な世界を作るために、17の目標を掲げるだけでなく、世界の現状や、具体的に達成すべき細かな目標を定めています。
子どもたちが調べたり活動したりしたことと、世界の現状を比較すれば、新しい情報が得られ、なるほどと気付いたり、新しい疑問を持つこともあるでしょう。自分たちの暮らしを見直すきっかけにもつながれば、研究はより深いものになるはずです。

身の回りと世界を結ぶカギに

子どもたちがSDGsと関連付けた学びを進めることは、SDGsの目的にもかないます。
SDGsを定めた文書「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、子どもは暴力や搾取から守られるべき存在であると同時に、「変化のための重要な主体」であると宣言しています。持続可能な社会をどのように築くのか、子どもも一人のステークホルダー(利害関係者)として、知識を得て、主体的に考え、関わっていくよう呼び掛けているのです。

とはいえ、初めてSDGsに触れる子どもたちには、まだ習っていない事柄も多いはずです。SDGsを解説した子ども向け資料や、書籍も多数発行されています。ぜひ、大人も一緒に手に取り、子どもたちの深い学びをサポートしてあげてください。

(筆者:長尾康子)

※外務省・日本ユニセフ協会作成
私たちがつくる持続可能な世界~SDGsをナビにして~ポータルサイト
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/kyozai/

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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