外出自粛でネット通販トラブルが急増!

新型コロナウイルスの流行によって、日本中の皆さんに外出の自粛を要請され、学校が休校となり、緊急事態宣言の発出によって多くの店舗が休業せざるを得なくなりました。大人も子どもも在宅時間が増えたことでインターネットの利用機会が増えたのではないでしょうか。
今回は、急増しているインターネット通販(以下、ネット通販という)のトラブルについて、お伝えしたいと思います。

子どもがネット上で買い物をして、高額請求されたら

1)保護者のクレジットカードを利用してオンラインゲームで課金した例
小学5年生の男の子。小学校が休校になりオンラインゲームに熱中してしまった。課金してアイテムを購入するため、父親の財布にあったクレジットカードの番号を入力した。クレジットカードの請求書にゲーム会社名で10件の請求があり、親が気付いて子どもに確認して発覚した。

2)ネット通販でダイエットサプリを注文したら定期購入だった例
女子中学生。中学校が休校になり自宅で留守番をしていた。自分のスマートフォンのSNS上にダイエットサプリの広告が表示された。お試し価格100円だったので、タップして進み、注文した。商品が送られてきたら、4回の定期コースで全部で2万円もかかることがわかった。

上の事例のように高額な代金を請求された場合、保護者が代金を支払わなくてはならないのでしょうか。それとも「子どもがやったこと」として支払わなくてもいいのでしょうか。

このような場合「子どもがやった」ことを証明する必要がありますが、法律上の「未成年者契約の取消」(民法第5条 第2項)によって、代金を支払わなくてもいい可能性はあります。

一方、子どもが保護者のクレジットカードを使用した場合は、クレジットカード所持者(保護者)に対してクレジットカードの管理責任を問われて「未成年者契約の取消」が認められない可能性があります。保護者はまず自分のクレジットカードを簡単に子どもの手が届くところに保管しておかないことが重要です。

また、(1)財布からクレジットカードを抜き取ることはお金を抜きとることと同じであること、(2)カード番号を入力することはお金を支払うことと同じであること、を子どもにしっかり教えるよい機会でもあります。

子どもに限らないネット通販のトラブル

その他のインターネット通販を利用した際のトラブルを紹介します。これは大人がネット通販を利用する場合にも当てはまります。

3)ネット通販でブランドのスニーカーを注文したら、偽物が届いた例
男子中学生。自分のスマートフォンで、以前から欲しかったブランドのスニーカーが安かったので、注文した。代金は自分のお小遣いでコンビニで支払った。商品が送られてきたら明らかに正規品ではなく偽物だった。サイトには電話番号がなく連絡が取れない。

未成年者でも「自分で処分を許された財産の範囲内」の買い物は、法律上の「未成年者契約の取消」の範囲ではありません。一般的にはお小遣いの範囲を指します。

先に代金を支払った後で、商品が届かなかったり、粗悪品が届いたりした場合、相手と連絡が取れなければ被害の救済は現実的には困難です。

通信販売の事業者には、名称、代表者、住所、電話番号等の記載が義務付けられています。記載があることを確認してから注文しましょう。

4)ネット通販で子どものTシャツを購入したが、イメージが違った例
小学6年生の娘がネット通販のサイトで見たTシャツを欲しがったので、母親が注文して商品が届いた。娘が着てみたが、ネットで見た感じとはイメージが違うので、返品したい。サイトの事業者に連絡したが「不良品以外は返品不可」と言われてしまった。

ネット通販などの通信販売には、いわゆるクーリング・オフの適用はありません。それぞれの通販事業者が定めた返品・解約の条件に従うのが原則です。

ネット通販を利用する際、注文する前に返品などの規約をきちんと確認する習慣をつけましょう。サイト上のどこに規約が書かれているのかを子どもと一緒に確認するのもいいでしょう。

インターネット利用が不可欠の時代に学ぶこと

2019年度 青少年のインターネット利用環境実態調査(内閣府)によると、小学生のインターネットの利用率は86.3%、中でもゲームの利用は81.7%に上っています。未就学児を含めた10歳未満の低年齢層の子どもでもインターネットの利用率が57.2%、ゲームの利用は59.0%という結果になっています。

オンライン授業等の必要性が高まっているなかで、今後子どものインターネットを利用する機会が増えることは避けられません。

大人も子どももインターネット全般やネット通販を上手に利用するためには、基本的な知識を得て、正しい情報を収集する方法を学ぶ必要があります。

(補足)「未成年者契約の取消」について

「未成年者契約の取消」について簡単に説明します。未成年者は成年者と比べて知識や経験がなく、判断能力も未熟です。
現在は、
1、契約時の年齢が20歳未満で、結婚したことがない。
2、法定代理人(多くの場合は保護者)が同意していない。
3、法定代理人から、処分を許された財産(小遣い)の範囲内でない。
4、未成年者が詐術(自分で成年だと嘘を言うこと)を用いていない。
などの条件がそろえば、未成年者が行った契約を取り消すことができると定められています。

民法の改正により、2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。それに伴い、未成年者契約の取消が可能な年齢も引き下げられます。

<参考>
令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/r01/net-jittai/pdf/kekka_gaiyo.pdf

プロフィール


宮里惠子

ファイナンシャル・プランナー、消費生活アドバイザー。生命保険をはじめ、教育費関連や住宅ローンについて雑誌・新聞・Webで執筆。地域に根をはるFPを目指して、横浜市北部エリアで活動している。若い世代に対する消費者教育の必要性を強く感じている。

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