「9月入学・新学期」に変わった場合 こんな制度にも影響を与えます (2)児童手当や学費はどうなる?

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、入学時期、および新学期のスタートを「9月にしてはどうか」というテーマが議論されています。(1)では、奨学金や推薦入試について考えましたが、2回目は児童手当や学費の準備にどのような影響を与えるのかを考えます。

児童手当は数か月分、受給期間が延びるのか

まずは、児童手当の制度から、入学時期や新学期の変更の影響を考えます。
児童手当について少しおさらいをしますと、誕生日の翌月から、中学校を卒業する3月まで支給される子育て手当です。誕生の翌月から3歳の誕生月までは、お子さん一人につき月額1万5000円がもらえ、その後は中学校を卒業するまで月額1万円がもらえます。第3子以降のお子さんは、小学校を卒業するまで、月額1万5000円がもらえます(中学校から1万円)。

新型コロナウイルス感染症による緊急経済対策によって、子育て世代向けの臨時特別給付金が、児童手当に加算される予定になっています。臨時特別給付金の支給額は、児童一人につき1万円。児童手当の支給月は2月・6月・10月の年に3回ですので、臨時特別給付金の1万円が上乗せされて支給されるのは、2020年6月の予定です。なお、通常では中学3年生の3月までの給付ですが、今回の臨時特別給付金はすでに中学を卒業していても、3月まで中学生だったお子さんにも支給されます。児童手当の最後の支払いは、中学校を卒業した年の6月になるからです。

臨時特別給付金は1回限りの給付金ですが、児童手当は前述の通り、中学校を卒業するまで支給されます。もし入学時期が9月になったとしたら、児童手当の受給期間も延長される可能性があります。現行では3月で支給が終わるところ、9月入学になると卒業するまで延長されるかもしれないのです。

9月入学・新学期になった場合、児童手当については、延長して支給されるのかといった課題が出てきます。具体的には、4・5・6・7月の4か月分、あるいは夏休みの8月まで含んだ5か月分を延長(上乗せ)してもらえるのかということです。

もらう側としては、受給額が増えればうれしい改正になりますが、児童手当の制度は「6月から来年の5月が1年度」になります。来年から9月入学・新学期に改定されるとしたら、学齢期の年度は「9月から翌年の8月までが1年度」になります。9月に学年が切り替わるとしても、制度の切り替え時期が6月スタートになる児童手当は、来年度の切り替え時期までに、受給月を延ばす改正ができるのでしょうか。児童手当の受給期間の延長はできないまま、学年の切り替えだけは行われるのでしょうか。多くのご家庭に関係する児童手当については、早急な議論が必要だと考えています。ただし児童手当の財源には、企業からの拠出金も含まれているため、国だけの思惑では変更が難しい制度という側面もあり、さまざまな意見が出そうです。

親が負担する学費総額はそれほど変わらないが・・・

ところで、これから出産を迎える未来の子育て家庭にとっては、親が負担する教育費を総額で考えると、金額面でそれほど変わらないと思います。改正によって影響を受けるのは、主に高校生以上のお子さんをお持ちのご家庭でしょう。9月入学・新学期になったとしたら、初年度だけは半年間、同じ学年でいる時間が延びます(あるいは学年の空白期間ができます)ので、延びた時間にかかる塾代などの負担は増えるはずです。
合わせて、現在、高校生以上のお子さんをお持ちのご家庭では、延長された分の授業料や施設費などは「誰が負担するのか」という課題が生じます。すでに高校や大学では遠隔授業が行われているからです。

来年から9月新学期に変更になると、来年の4月から8月までの学年はどうなるのかも、懸案事項になります。4月から8月までは、元の学年のままでいるとしても、その間の授業料や施設費の負担はあるのか、ないのか。高校生以上の子どもを持つ家庭では、不安に感じるのではないでしょうか。

9月入学・新学期に切り替わった場合、教員や職員の給与、学校の施設維持費など、制度変更によって発生する半年分の負担は、国や学校側がすべて担ってくれるのでしょうか。もしかしたら、親側もある程度は負担しなくてはならないのでしょうか。「初年度に発生する半年分の費用」については、大きな不安要素だと感じています。

今回は児童手当と新たに発生する「半年分の費用」について考えてみました。次回の(3)では、就職活動に与える影響について考えます。

(筆者:畠中雅子)

プロフィール

畠中雅子

畠中雅子

大学時代よりフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャルプランナーになる。新聞・雑誌などに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などを行う。著書は、「ラクに楽しくお金を貯めている私の『貯金簿』」(ぱる出版)ほか、70冊を超える。

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