食べ物の「もったいない」に学ぼう

「食品ロス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。まだ食べられるのに、廃棄される食品のことです。資源の有効活用や環境負荷への配慮から、食品ロスへの関心が高まっています。若者はどのように感じているのでしょうか。

食品ロス、若者の79%「知っている」けれど…

日本財団は2月28日、食品ロスに対する意識調査の結果を発表しました。調査に回答したのは全国の17~19歳の男女1,000人です。「食事を残すことがあるか」の問いに対して、72.2%が「いつも残さず食べる」と回答し、25.5%が「ときどき残すこともある」、2.3%が「いつも残す」と回答しています。

自分が食事を残すことについて「良くない」と考える若者は78.4%、「仕方がない」が17.7%、「問題がない」が3.9%となりました。多くの若者が、食べ物を残さず食べることが望ましいと考えていることがわかります。

食肉や惣菜、生菓子など期限を越えると安全でなくなる可能性のある「消費期限」と、スナック菓子、缶詰などの期限を越えても安全性に問題が発生するとは限らない「賞味期限」の違いは、85.3%の若者が「知っていた」と回答しています。学習指導要領では、中学校の技術・家庭科で、食品の表示に関して学ぶことになっています。学校で習った、という人も多いと考えられます。

若者の「食品ロス」の認知度は高く、79.3%が「知っている」と答えました。ただし、食品ロスの削減が必要な背景や対策の具体的な中身については、あまり知られていないようです。2016年度で国内の食品ロスは643万トンで、その45%は一般家庭から、20%は客の食べ残しなど外食産業関連の食品ロスであることを知っている若者は、20%台にとどまっています。

世界では十分な食料を得ることができない人口が推計で8億2,100万人もいる、ということを知っている人も、3割にとどまりました。食品ロスという言葉が、食べ物を残さない、もったいないことをしない、といった日常生活と結び付けて考えられてはいても、社会の仕組みや貧困問題、世界の食料事情と結び付くことは、少ないようです。

社会とのつながりで考える視野を

近年は食育の広まりで、「食」についての学びが小学校低学年から始まっています。また、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)の12番目のゴール「つくる責任 つかう責任」では、2030年までに小売・消費レベルにおける食料の廃棄を半減する、という目標が注目されています。

一斉休校で、学校給食に使われなくなった食材の行方など、より年齢の低い子どもたちも食品ロスについて関心を持つ場面が増えそうです。食べ残すのはもったいない、という日常感覚から一歩進んで、食品の生産や流通の仕組み、さらには食料自給率や世界の食料事情まで、視野を広げて考えるような親子の会話をしてみてはどうでしょうか。

(筆者:長尾康子)

※日本財団 18歳意識調査 第22回テーマ「食品ロス」
https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/eighteen_survey

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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