男女格差の解消、世界でも100年かかる?

社会進出における男女の格差解消には約100年かかるという見通しが、世界経済フォーラム(WEF)の調べで明らかになりました。日本も例外ではありません。ロールモデル(お手本となる人物)の存在や、進出が遅れている分野への女子の進学を後押しすることが、格差解消につながりそうです。

日本は121位に後退、政治・経済分野で遅れ

WEFは、世界各国の企業や団体が加盟する国際的な非営利団体です。毎年、政治や経済、健康、教育面での男女の格差を示す「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」を発表しています。このほど発表された2019年版のレポートでは、世界全体の男女の格差が解消されるまでに99.5年かかると予測しました。18年のレポートでは108年かかると計算されていましたから、少し改善が進んだことになります。

改善の要因として、女性の政治への参画が進んだことを挙げています。世界的に見ると、下院議員(日本の衆議院議員に相当)の数で女性が占める割合は25.2%、閣僚では21.2%になったといいます。一方、経済面で男女格差は世界でも依然として大きく、その要因として▽管理職やリーダーになる女性の割合が上がらない▽テクノロジー関係など賃金の上昇がみられる職業に就く女性が少ない▽育児や看護、介護のインフラが整っていない▽起業時の資金調達の難しさ……などを挙げています。

国別に見ると、男女の格差が最も小さいのはアイスランドで、次いでノルウェー、フィンランド、スウェーデンの北欧諸国、ニカラグアとなっています。

日本は153カ国中121位で、昨年の110位よりも後退しています。政治分野では144位、経済分野では115位となっており、教育(91位)や健康(40位)分野とのアンバランスも目立ちます。

お手本の存在と高度なスキル支援で後押しを

こうしたジェンダー・ギャップを解消するには、どうしたらいいのでしょうか。レポートは、女性が手本となる「ロールモデル効果」が、政治面や経済面でよい影響を与えると指摘しています。また、コンピューター関連などの高度なスキルを身に付けるための支援が、将来の仕事につながるとしています。

その意味で、教育がギャップ解消に果たす役割は小さくありません。文部科学省の2019年度学校基本調査で、大学における女子学生の割合は、学部(45.4%)、修士課程(31.6%)、博士課程(33.7%)と、いずれも過去最高となっています。大学における女性教員の割合(53.3%)や、女性管理職の割合(29%)も、同様に過去最高となりました。

保護者世代にとって、女性が大学に進学することや、卒業後、就職して働くことは、ごく当たり前のことになっています。しかし、現状でもなお、ジェンダー・ギャップ解消に約100年かかるのだとしたら、今後もなお一層、あらゆる分野への女子の進学を後押しし、応援していく必要があると言えます。

(筆者:長尾康子)

※世界経済フォーラム
https://jp.weforum.org/press/2019/12/jenda-gyappu-repo-toha12-17-desu

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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