先生の育て方、「フラッグシップ大学」が変える

学校の先生には、子ども一人ひとりに向き合い、基礎学力をしっかり身に付けさせ、情熱をもって教えてほしい……など、保護者が期待することはさまざまでしょう。一方で、これからはSociety(ソサエティー)5.0と呼ばれる超スマート社会を生き抜く術を、子どもたちに教えられる先生も求められています。そうした中、教員を養成する大学でも、新しい動きが始まろうとしています。

教員養成のけん引役として

文部科学相の諮問機関である中央教育審議会は、昨年5月からワーキンググループ(WG)を立ち上げて、新しい時代に対応した教員養成を行う大学の在り方を検討してきました。政府の教育再生実行会議が、第11次提言で「国は、今後の社会変革に伴う教育革新の大きな流れを見据え、(中略)Society5.0に対応した、産業界とも連携し教員養成を先導するフラッグシップ大学を創設する」と提言したのを受けてのことです。

フラッグシップとは、司令官が乗る「旗艦」という意味で、転じて「けん引役」という意味で使われます。教員養成において、新たな試みにチャレンジする大学を国が支援し、日本の教員養成の在り方自体を変えていこうという狙いです。2019年12月に、WGの最終報告案がまとまりました。

報告案は、人工知能(AI)やビッグデータといった技術が急速に発展し、社会が劇的に変わるSociety5.0時代には、教師に求められる力や役割も変わる、としています。具体的には▽ICT(情報通信技術)や先端技術を効果的に活用し、問題発見・解決型の学習活動を展開し支援する力▽子どもたち一人ひとりに合った学び方を構想する力▽意見を引き出してコーディネートする力▽学問研究の成果を積極的に学び、実践に活かす力……などです。こうした力を備えた先生を養成するために、「フラッグシップ大学」の必要性を打ち出しています。

新時代の教え方ができるように

フラッグシップ大学は、2021年度から5~6年程度を想定し、20年度中に公募を行い、少数の大学に絞り込んで選定すべきとしています。応募要件としては、教員養成から学校現場での実践を通じての一体的な体制が整っていることや、国内外の関係機関等と連携を取り、研究を進めていけることなどを列挙しました。国に対しても、大学が先進的な取り組みができるよう、制度・予算面の支援や、教育委員会等への協力要請を求めています。

委員の中からは、フラッグシップ大学で行う授業では、Society5.0という新しい時代の中で、テクノロジーと共存していく人間の在り方を考えるような内容も必要だ、という意見も出ています。単にICTが活用できる先生だけでなく、今までにない新しい教え方や学び方を展開できる先生を育てられる、使命感のある教員養成大学を求めたいという機運が感じられました。

フラッグシップ大学で育った先生が教壇に立つまでには、まだ数年かかります。社会全体で新しい時代の先生を育てていく意識も求められるでしょう。

(筆者:長尾康子)

※教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループ
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/11/1422452_00001.htm

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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