地域に広げよう!プログラミングのクラブ

地域で楽しみながらプログラミングなどを学ぶ課外活動として、「地域ICTクラブ」という取り組みがあるのをご存じでしょうか。地域住民や民間団体などの力を生かした取り組みが広がる中、総務省はガイドラインを示して、クラブ運営のノウハウを共有し、子どもたちのICTへの興味関心を高めようとしています。

放課後に楽しく学習

来年度から全面実施となる小学校の新学習指導要領では、プログラミング教育が必修化されます。子どもたちが人工知能(AI)時代を生き抜くために必要なスキル、たとえば思考力や創造力、コミュニケーション力、ICT活用能力などを育むには、学校の授業だけでなく、放課後や休みの日を使った課外活動を生かすことが有効です。

総務省では、「地域ICTクラブ普及推進事業」を推進しています。子どもたちだけでなく、社会人や高齢者、障害者、学生など、さまざまな地域住民が共に楽しく学び合う中で、世代を超えてICTの知識や経験を共有しようというものです。プログラミングやアプリ制作などを学び、ICTに対して高い関心を示す子どもたちを増やすのが狙いです。

2018年度は全国で23件の実証事業が行われ、19年度は17件の事業が採択されています。その具体的な取り組みを見てみましょう。神奈川県愛川町の「中二小(中津第二小学校)プログラミング学習クラブ」は、小中学生の世界規模のロボットコンテストへの参加を目指します。県立愛川高校や神奈川工科大学と連携し、小学校から大学までのプログラミング教育のモデルプログラムを構築する予定です。一方、「いばらきICTクラブ」は、茨城県茨城町や牛久市、つくば市で実施。会話型ロボットを使ったプログラミング体験教室を開催し、障害の有無にかかわらず、地域で交流の場をつくるといいます。

円滑な運営にはコツも

放課後を活用したICTクラブは、小中学校を会場にするケースが少なくありませんが、子どもたちが楽しく学ぶには、学校だけでなく地域や企業・団体の協力が欠かせません。そこで、総務省は今後、地域ICTクラブを立ち上げる際のガイドラインを公表し、魅力的な活動にするためのポイントを挙げています。

まず、クラブを設立する目的や活動の目指す姿を、地域特性も考慮しながら明確にします。その上で、対象となる子どもたちや指導者、運営サポーター、キーパーソンなどの「ヒト」、プログラミング教材やパソコンなどのICT機器、開催場所や通信環境といった「モノ」、運営に当たっての人件費や謝金、設備費などの「カネ」の三つを確保し、相互連携するコツを、2018年度の実証事業の事例を踏まえて整理しています。

放課後活動であるICTクラブは、学校で行われる授業とは直接関係ない、と思われるかもしれませんが、2018年度の事業では、ICTクラブに参加したサポーターのうち、学生(28.7%)に次いで教職員(19.6%)の参加も多くありました。この事業ではクラブが放課後の子どもたちの受け皿として機能するだけでなく、学校の部活動などの活性化につながるよう、相互にメリットをもたらすものだとうたっています。

運営の条件は異なっても、専門家や地域がつながり、子どもたちを育てていく方法は、チームとしての学校運営に通じるものがありそうです。ICTクラブの取り組みをヒントに、学校の授業におけるプログラミング教育の充実も望まれています。

(筆者:長尾康子)

総務省 「地域ICTクラブ」地域実証事業に係る採択候補の決定
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu05_02000131.html

※総務省「地域ICTクラブ」の取組紹介(公開講座及びガイドラインの公開)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/IoT_learning.html

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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