公立校に広がる「国際バカロレア」

国際的な教育プログラム「国際バカロレア(IB)」を導入する公立学校が増えています。質の高い教育を、より多くの子どもに提供したいという自治体の意図が背景にあります。IBのカリキュラムと学習指導要領との整合性や、IBの教科を指導できる教員の確保などが成功のカギと言えそうです。

数年後に認定校が続々と誕生

IB教育とは、スイス・ジュネーブに本部を置く「国際バカロレア機構」が提供する国際的な教育プログラムです。多様な文化を理解・尊重する精神を通じて、より平和な世界の構築に貢献する、探究心や知識、思いやりに富んだ人材の育成を目的としています。

プログラムは初等教育プログラム(PYP)、中等教育プログラム(MYP)、国際的な大学入学資格を付与するディプロマプログラム(DP)などがあります。日本国内では、中学校段階に当たるMYP認定校は18校、高校に相当するDP認定校は46校を数えます。

これまでインターナショナルスクールや私立学校、国立大学の付属校を中心にIB教育の導入が進んできましたが、ここ数年、公立中高一貫校にも導入する動きが見られます。
札幌市立札幌開成中等教育学校は2017年にIB校に認定され、既にプログラムが始まっています。首都圏では、さいたま市立大宮国際中等教育学校が今年5月にMYP候補校として登録され、認定校を目指しています。大阪市では公設民営型の市立水都国際中学校・高校が2020年度から高校2年に「国際バカロレアコース」を設置してIB教育を開始する予定です。宮城県立の仙台二華中学校・高等学校もDP候補校に登録され、2021年4月の開始を目指しています。

カリキュラム編成や教員確保がカギ

公立中高一貫校でIB教育導入が進む理由として、地域性や保護者の経済状況にかかわらず、国際的なIBプログラムを学ぶ機会を広く提供する狙いがあります。中学校でMYPを導入すれば高校でのDPへの接続も円滑に進むため、6年一貫教育の中で実施するほうが有利というわけです。学費を公立並みに抑えたままIB教育が受けられるのは、保護者にとって大きな魅力です。

ただしIB教育を円滑にスタートさせるにはハードルもあります。▽国際バカロレア機構が求めるIBのカリキュラムと、日本の学習指導要領に則った教育を両立させるため、教育課程を読み替えるなどの工夫が要ること▽IBに特有の各教科を指導できる日本人および外国人教員の確保や採用▽高校3年の11月に実施される最終試験への準備と進路指導……などが挙げられます。

IBのプログラムは生徒にも教員にもハードですが、英語力に加え、論理的な思考力や、プレゼンテーション力が身に付くと言われます。公立中高一貫校の新たな魅力づくりの一つとして、今後もIB導入の動向が注目されます。

(筆者:長尾康子)

※国際バカロレアについて(文科省ホームページ)
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/index.htm

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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