STEAM教育の今。「School Maker Faire」イベントレポート

2019年8月3日・4日で東京ビックサイトにて行われた「Maker Faire Tokyo 2019」。べネッセコーポレーションはプラチナスポンサーとして初出展しました。株式会社オライリー・ジャパンのライセンスの下、会場内にて STEAM教育(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematicsを重視した教育)を先進的に学びに取り込んでいる学校による作品展示「School Maker Faire」を開催。独創的なアイデアと技術力を活かし、生徒たちはどのような作品を作りあげたのでしょうか。当日の生徒の様子を中心にダイジェストでイベントの様子をお届けします。

「Maker Faire」「School Maker Faire」とは?

「Maker Faire」は個人や企業が制作した作品を一般向けに展示紹介する世界的なイベントで、現在、世界200ヵ所で開催されています。今回東京で開催された「Maker Faire Tokyo 2019」では、会場内にてベネッセコーポレーションが「School Maker Faire」を運営し「Maker Education=ものづくりを通しての学び」に取り組む生徒をサポートしました。

近年、ベネッセコーポレーションでは、新しい学びの領域である STEAM 教育に力をいれています。「進研ゼミ」の受講費内で楽しみながらプログラミングの思考を身につける「プログラミングワールド」の提供や、ICT支援員を利用する学校向けに無償でプログラミング教育教材の提供を行っています。
子どもたちがSTEAM 教育領域でさらなる学びの機会を得るために、ベネッセコーポレーションは「Maker Faire Tokyo 2019」に初めてスポンサーとして協賛することとしたのです。

「School Maker Faire」は、中高生の開発作品・研究の発表の場となりました。決まったテーマは提示されず、自身で課題を設定し、自由な発想でものづくりに臨みます。展示ブースでは、生徒自身が開発した作品についてプレゼンテーションを行いました。さらに、表彰式では多くの参加者の前で開発に込めた思いや背景、こだわった点などについて報告をしました。

探究心を育み、テクノロジーを活用して自身の作品を開発する。STEAM 教育は大きな意義を持っています。本イベントは、そうした教育・経験を経た生徒たちの“ハレの場”となりました。

生徒たちの制作発表と講評

イベント2日目の8月4日には、生徒たちによる制作発表と協力企業賞の授与が行われました。さらに、日本STEM教育学会幹事 日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)会長 ICT CONNECT 21(みらいの学び共創会議)会長 東京工業大学名誉教授 赤堀侃司先生から各校へ講評が添えられました。
生徒たちが開発作品を一層ブラッシュアップする機会につながったといえるでしょう。

◆麻布中学校 麻布高等学校(conect +賞)
2足歩行ロボットの開発についてプレゼンテーションしました。3Dプリンタを使って軽量化を図りつつ、安定感のある2足歩行を実現しました。

(赤堀先生の講評)
「ものづくりのスキルが非常に高いと感じました。理論的に組み立てることで、論文発表レベルにまで高めていけるはずです。今後が楽しみです。」

◆工学院大学附属中学校・高等学校(創意工夫賞 株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント)
寝坊が多くの人にとっての共通課題だと考えて、IoTによってカーテンが自動で開閉するツールを開発しました。Bluetoothと連動し、寝坊を防止することができます。

(赤堀先生の講評)
「工学院大学附属中学校・高等学校は、おもしろい視点が際立っていました。同校の他の生徒は、フロッピーディスクを入れることで音楽が奏でられるツールを作っていました。これも斬新。古いデバイスと新しいテクノロジーを掛け合わせる視点は素晴らしかったです。」

◆聖光学院中学校高等学校(seeed賞)
照明の可能性をさまざま探りました。テレビの裏側に設置するという家族の要望に合うように、「デザイン」よりも間接照明となる「機能」を意識したものづくりができました。
また、FabLab鎌倉とコラボレーションし、鎌倉をフィールドワークして遊び心を取り入れた噛むポストなどを開発しました。

(赤堀先生の講評)
「発想が豊かでおもしろかったです。他の組織とコラボレーションするのもいいですね。発表者の他にも、靴に照明をつけて光ったり、歩数を感知して自分の健康管理ができたりするツールを開発している子がおり、新しさを感じました。」

◆愛知県立高浜高等学校(セメダイン賞)
「Sの絆焼き型」というオリジナルデザインのたい焼きの金型を地元の工場などとコラボレーションして開発しました。制作したものを、他県の高校などに販売しています。また、地元のバスケットチームの依頼を受けて、オリジナルたい焼き金型も開発中です。

(赤堀先生の講評)
「地方創生は多くの地域が悩んでいる課題です。高浜高校は1台60万円程するたい焼き機を既に数台売り上げている。ビジネスとして成功しているんです。中高生がビジネスにより地方を盛り上げていく。この視点がもっともっと広がっていくとよいでしょう。」

◆豊島岡女子学園中学校・高等学校(obniz賞)
「最強の橋を作る」というテーマで、さまざまな橋の形を木材とピンを用いて復元し、どのくらいの負荷をかけると破損するかを実験しました。接合方法や構造など多様な視点で試し、それぞれの強度を測定していきました。

(赤堀先生の講評)
「橋の強度を検証したということで、その興味関心が素晴らしい。探究心を持って粘り強く実験を繰り返す姿勢に感銘を受けました。」

◆広尾学園 中学校 高等学校(オムロン賞)
学園で一斉下校する日があります。学年で5分ずつズラして下校していますが、いつも校舎のエントランスが混み合います。英語で書かれた論文を参照し、歩行者相互作用モデルという理論を用いてシミュレーションした結果、最低9分差で下校していくことが妥当であることがわかりました。

(赤堀先生の講評)
「現在、AIやIoTによって渋滞を緩和させようという取り組みが世界で起きてきています。広尾学園の研究は、それに通ずるものだと感じました。これから、ぜひ学校という単位だけでなく道路の渋滞緩和という社会課題解決に向けて探究を広げてほしいです。」

発表会は欠席となりましたが、3Dプリンタを使った遊び心あふれる作品を展示した湘南学園中学校高等学校にはMESH賞が授与、部品から手作りしたキャタピラロボを展示した鵬翔高等学校にはインターネットイニシアティブ賞が授与されました。

これからも「Maker Education=ものづくりを通しての学び」を充実させるべく、ベネッセコーポレーションでは多様なサポートを続けていきます。

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