高校生の留学、短期でも効果あり?

国境を越えて人々の行き来がしやすくなった現在、高校生のうちに国際交流や語学研修などの海外体験をさせたい、と考える生徒やご家庭も多いことでしょう。最近では3か月未満の短期の留学が増加しています。今どきの高校生は、どのような海外体験をしているのでしょうか。

3か月未満が大幅増

文部科学省が隔年で行っている「高等学校等における国際交流等の状況」の調査によると、2017年度に国公私立の留学者数は、前回調査時(15年度)の3.6万人から1.1万人増加し、過去最高の4.7万人となりました。このうち多くを占めているのが3か月未満の短期留学で、4.3万人(前回調査時は3.2万人)となっています。文科省は「比較的短期の国際交流の増加が留学生数全体の増加につながっている」としています。

これは、現地の高校や語学スクールでの語学等の研修や、国際交流等に参加する留学で、修学旅行とは別のものです。3か月未満の留学先で多いのは、オーストラリア(1万888人)、米国(9,123人)、カナダ(4,438人)、英国(3,395人)、ニュージーランド(2,959人)の順です。その他も含めれば行き先は55か国・地域にわたり、高校生を派遣した学校数は2,286校に上ります。
3か月以上、現地の高校などに留学した高校生は、前回調査より121人減り、4,076人となりました。行き先で最多は米国、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの順になっています。

期間と費用でちょうどいい

短期の留学が高校生に好まれるのには、理由が幾つかありそうです。
まず、夏休みや冬休みを利用して参加でき、学校の授業に響かないことが大きいでしょう。現地の学校に通うため、語学力を試すチャンスが各段に増えることも魅力です。宿泊をホームステイにした場合、まる1日現地の言葉に浸る環境に身を置くことができます。クラスメートや先生、ホストファミリーとの新たな出会いがあり、生活を共にすることで日本とは異文化を知ることができます。

ある高校関係者は「3か月以上の長期になると、現地の学校で単位を取るために、コミュニケーションや交流よりも、学業に目が向いてしまう」と言います。日本の生徒は数学が得意なため、会話しなくても解ける科目に力を入れてしてしまうのだとか。
費用面では、長期になると高額になりますが、短期であれば、学校や行政、民間団体などの助成金制度を利用すれば負担も少なくて済みます。これらの理由から、高校生の短期留学は「ちょうどいい」身近なものになっているのではないでしょうか。
一方、日本の高校が、海外からの外国人留学生を受け入れている状況は、対照的です。3か月未満の留学生の人数は延べ3,448人、受け入れ高校は530校にとどまっています。3か月以上となると、延べ2,621人、受け入れ高校は685校です。

異なる価値観に触れて多様性に目を向けることは、国際社会に対応できる人材の素養です。海外に出かけるだけでなく、留学生を迎える国際交流も、今後もっと増えてほしいものです。

(筆者:長尾康子)

※ 文部科学省 2017年度 高等学校等における国際交流等の状況について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/08/1420498.htm

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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