“未来の学び方”をのぞいてみよう

教育とテクノロジーを融合させて新たな授業や学びの姿を作り出そうとする、経済産業省の「未来の教室」実証事業が各地で始まっています。どのような事業が行われているのでしょうか。ポータルサイトがこのほどリニューアルされ、多様な取り組みが見やすく紹介されています。

教育課題をテクノロジーで解決

産業構造や社会構造が変化する中では、新しい価値を生む人材やイノベーションを起こせる人材が必要との考えに立ち、経済産業省は教育界と産業界を融合させた教育改革に携わろうとしています。それが「未来の教室」と呼ばれる事業です。
デジタル技術を活用した「EdTech(エドテック)」(Education+Technology)と呼ばれる教育サービスやプログラムを学校現場で展開し、効果を明らかにしようというプロジェクトで、2018年1月から有識者による研究会が開かれています。

研究会は6月に第2次提言を公表し、「未来の教室」の姿として▽学びのSTEAM(科学、技術、工学、芸術、数学)化▽学びの自立化・個別最適化▽新しい学習基盤づくり……の3本柱を掲げています。
提言を受けて、今年度の「未来の教室」実証事業は、昨年度に指定した4つのモデル校での実証を継続する他、▽個別最適化・到達度主義の学びを可能にする教育サービス▽将来的に公認可能な学校外教育サービス▽部活動・放課後サービス▽教職員向け研修サービス……の4分野で公募を実施、9月上旬に選定結果が発表される見込みです。

活用事例・動画などを参考に

産業界が教育に関心を強く持ち、学校と一緒に改革をしようとしているのはわかりますが、保護者や子どもたち、学校の先生方には「実際には『未来の教室』って、どこの学校? 何をしているの?」と、やや伝わりにくい面がありました。そこで、このたびのリニューアルでは、初めてサイトを訪れる人にも分かりやすいよう、検索画面の充実が図られました。

小中高校などでの導入事例を見たい場合は、「EdTechサービス導入事例」のカテゴリーから入ると、学校名と使っているサービス、どの事業者が協力しているかが分かります。例えば、ある学校で英会話アプリが導入されているのを見つけたとします。類似したサービスはないかと探すときには、「EdTechサービスをさがす」のカテゴリーへ。フリーワードなどの条件検索が可能です。お子さんが興味を持てそうなアプリを探すのにも適しています。

カテゴリーの最初にある「未来の教育 実証事業」には、学校以外に地域や企業でのサービス導入事例も一体となって表示されるので、幅広くEdTechの活用場面を知りたい場合に便利です。
学校への導入事例の掲載はまだ多くはありませんが、教育の情報化が喫緊の課題となっている学校現場へ具体的な情報提供をする意味でも、これからのサイトの充実に期待したいものです。

(筆者:長尾康子)

※ 未来の教室 https://www.learning-innovation.go.jp/

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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