給食費もコンビニ納付の時代に

学校の働き方改革の中で、先生以外が担うべきとされている業務の一つに、学校給食費の徴収があります。文部科学省はこのほど、「学校給食費等の徴収に関する公会計化等の推進について」を通知し、自治体による徴収・管理を図るよう促しました。

学校単位の徴収から自治体管理へ

子どもたちが毎日食べる学校給食の費用は、保護者が負担しています。その集め方は、▽学校が指定した金融機関からの口座引き落とし▽学級担任や事務職員に現金で手渡し▽保護者が指定金融機関へ振り込み……など、方法はさまざまですが、会計処理を学校単位で行っている場合は「私会計」と呼ばれ、全国で6割がこの方法を取っています。

一方、学校ではなく学校の設置者である地方自治体が、学校給食費を自治体の歳入歳出予算に計上し、徴収・管理する「公会計化」を導入するケースが増えてきました。昨年度の文科省の調べでは、4割が公会計化しています。そのうち半数近くは、学校ではなく自治体が管理業務を行っています。
公会計化が進んだ背景には、学校給食費の未納問題があるのですが、公会計化にはそれ以外にも、さまざまなメリットがあるようです。文科省が示したガイドラインから見てみましょう。

効果の最大のポイントとして、まず教員の業務負担の軽減が挙げられます。学校給食費が私会計の場合、滞納している保護者への督促は主に先生の仕事になります。文書だけでなく、電話や戸別の訪問なども含めた業務は夜間になることも多く教員の大きな負担です。公会計化導入で、1校当たり年間190時間の業務削減効果があるといいます。

次に、保護者の利便性向上が挙げられます。学校が指定する口座が特定されている場合、保護者が新たにその金融機関に給食費専用の口座を設けるなど手間がかかっていました。公会計化すれば住民税などと同じく、さまざまな金融機関を利用することができます。中にはコンビニエンスストアやクレジットカードによる納付ができる自治体もあります。

献立や食材は学校裁量で

もう一つ大きなメリットとして、学校給食費の管理の透明性の向上があります。学校単位の私会計は監査を受けることがないため、処理が不正確になりがちで、最悪の場合、不正流用にもつながりかねません。自治体の予算に組み込む公会計化は、処理の透明性を高めることになり、学校給食費をきちんと納めている保護者への公平性の確保や、説明責任も果たすことにつながるといいます。

ただしガイドラインでは、公会計化で各学校や給食センターごとの献立作成までも一本化する必要はなく、学校ごとの創意工夫の妨げになってはいけない、と注意を促しています。野菜などは天候や時期により価格が変わる上、地場産品活用の観点からも、一括して食材を購入するのは適切ではない場合があるからです。

学校給食は、食育の「生きた教材」と言われます。公会計化による業務軽減は、あくまで徴収・管理の部分だけであり、献立そのものに影響が及ばないような仕組み作りが必要です。業務負担が軽くなったからこそ、食育や給食指導など、子どもと関わる時間の充実に充てることが求められています。

(筆者:長尾康子)

※ 文部科学省 学校給食費等の徴収に関する公会計化等の推進について
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1419091.htm

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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