自由研究にも役立つ?「SDGs」

もうすぐ夏休み。楽しいイベントや遊びを楽しみにしている小学生も、多いことでしょう。自由研究や課題のテーマも、少しずつ考えておきたいものです。なかなか決まらない時は、保護者のサポートも必要でしょう。
簡単で面白いことも大事ですが、最近よく聞く「SDGs(エスデージーズ)」をヒントにしてみてはどうでしょうか。

「簡単・楽しい」から一歩踏み込んで

自由研究は子どもたちが自由にテーマを決められるため、日ごろから好きなことや興味・関心のあることを調べたり、実験したりできる、楽しい学習です。関心のある国や地域をインターネットや図書館、博物館などで調べたり、ご家庭で食品やペットボトルなど身近なものを用いた実験や調理をしたりするなど、手軽に行えるものが思い浮かびます。
もちろん、そうした取り組みもよいのですが、「楽しかった」「興味深かった」で単発に終わってしまうのはもったいないです。子どもの探究心をより引き出し、学校での学習にも関連付けていくためには、SDGsがうってつけです。

SDGsとは、2015年より国連が提唱している「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals」のことで、先進国も含めた国際社会が、30年までに取り組むべき17の目標を指します。「1 貧困をなくそう」「3 すべての人に健康と福祉を」「4 質の高い教育をみんなに」「7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「9 産業と技術革新の基盤をつくろう」「14 海の豊かさを守ろう」「15 陸の豊かさも守ろう」などが含まれています。こうした世界の課題と、自分の自由研究を関連付けて考えることで、より研究に深みが出てくるのではないでしょうか。

例えば、自分の関心のある国や、旅行などで訪れた場所について、建物や自然を調べるだけでなく、それを保全するためにどのような団体が、どのような取り組みをしているか、どのような課題があるかを、併せて調べてみるのです。食べられる植物の栽培と観察をするなら、その食品の自給率や、農業について調べてみてもいいでしょう。イメージとしては「視点を社会や世界に向ける」感覚です。

視点や好奇心を広げるきっかけに

SDGsの視点を持つのには、どうしても子どもだけでは限界があるので、保護者がサポートをすることも有効かもしれません。SDGsを推進するために今、政府や企業、NGOなど、幅広い関係者が、官民を挙げて取り組んでいます。先日、大阪で開かれたG20サミットでも議論されたことにみられる通り、徐々に認知度が高まってきていますので、例えばお勤めの会社などからも、さまざまな情報が得られるはずです。

SDGsの視点から課題を掘り下げていくと、「なぜ自分たちの住む街では、こうなんだろう?」「他の場所や国ではどうなのだろう?」「こんな課題があると、初めて知った」というような発見が、たくさんありそうです。実はこうした気付きは、新学習指導要領で求められる資質・能力の柱である「思考力・判断力・表現力等」や「学びに向かう力・人間性等」を伸ばす、有効な方法の一つでもあります。
ぜひ夏休みには子どものたちの「なぜ?」を引き出す研究に、ご家庭で挑戦してみてはどうでしょうか。

(筆者:長尾康子)

※SDGs(外務省ホームページ)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/doukou/page23_000779.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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