小中学校の施設、どう変わる?

地域の小中学校は、子どもたちの学習や生活の場としてだけでなく、地域全体の学びの施設として、また災害時の防災拠点として、担う役割が大きくなってきています。これからの小中学校の施設はどうあるべきか、文部科学省がその方向性を示しています。

設計指針をリニューアル

学校施設は、子どもたちが勉強・生活する場であることはもちろん、「地域に開かれた学校」として、さまざまな人が関わるようになってきています。地域の高齢者や幼い子どもたちと交流をしたり、学校施設を使って地域の大人がスポーツを楽しんだりしています。そのような中で、施設の老朽化に伴う改築だけでなく、少子高齢化、ライフスタイルの変化、コンピューターの整備やアクティブラーニングなど学び方の変化に伴い、その時々で学校施設の在り方を見直す必要が出てきています。

時代に合った学校教育を進めるうえで必要な施設・機能を確保するために、学校施設を計画・設計するうえでの基本的な考えを示したものを「学校施設整備指針」といいます。小中学校の指針は1992年に策定され、その後、防犯対策や耐震化、アレルギー対策、バリアフリー対応、小中一貫教育対応などに対応して、改訂が行われてきました。

今回の指針の見直しは2018年4月から始まり、このほど改訂の方向性を示す報告書がまとまりました。 改訂のポイントとして、(1)新学習指導要領への対応(2)ICTを活用できる施設整備(3)インクルーシブ教育システムの構築に向けた取り組み(4)教職員の働く場としての機能向上(5)地域との連携・協働の促進⑥学校施設の機能向上⑦変化に対応できる施設整備……を挙げています。

新学習指導要領や働き方改革に対応

(1)では、小学校で新たに外国語科が導入されることに伴い、外国語の音声や表現等の学習を体験的に行ったり、外国の文化について理解したりすることができる学習環境に配慮するとともに、発表の場を整備したり学習活動に応じて ICT の環境整備を検討したりすることが重要としています。
(2)では、▽普通教室に大型提示装置を設置する▽タブレットやパソコンの利用を前提とした机の形や教室の明るさを検討する▽校内のどこでも日常的にICTを活用できるよう無線LANを整備する……などとしています。
(4)は、教員の働き方改革の議論も踏まえたものです。教員の事務負担を軽減するため、▽学校事務を複数校で行う「共同学校事務室の設置」▽教職員が専門スタッフと打ち合わせをしやすい共有スペースの確保▽校務を支援するICT環境の整備……などを示しました。

指針の改訂案はウェブサイトで公開されています。参考資料には、改訂の参考とされた12の学校の事例が平面図と配置図、写真付きで掲載されています。これらの事例から、未来の学校の在り方について考えてみてはいかがでしょうか。

(筆者:長尾康子)

※学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議「これからの小・中学校施設の在り方について~児童・生徒の成長を支える場にふさわしい環境づくりを目指して~」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/044/toushin/1414523.htm

※文部科学省 これまでの学校設備整備指針
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/seibi/1291476.htm

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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