ネットのトラブル対策「指南書」を公開!デマやフェイクニュースを発信した際の罰則も紹介

新学習指導要領の全面実施を控えて、学校のICT化はますます進展していきます。子どもたちが正しくデジタル活用能力を高められるよう、専門家が「指南書」を無償で公開しました。年齢や属性に応じて啓発の目標を示し、情報リテラシー教育を行う際の留意点を挙げています。世代や立場によりネットリテラシーが異なることに注目した、実用的なマニュアルと言えます。

セキュリティーの専門家が作成

「情報リテラシー啓発のための羅針盤(コンパス)」は、サイバーセキュリティー企業のラックが3月1日にホームページ上に公開しました。同社は官公庁や企業、団体向けの情報セキュリティー事業を手掛けています。この指南書は、同社の研究開発部門「サイバー・グリッド・ジャパン」が、サイバー分野における啓発活動の一環として作成しました。学校現場ではネット上でのトラブルについての法律的な理解が不十分であるとし、その解消に役立ててもらおうという狙いです。

指南書の特徴は幾つかあります。一つ目は、情報リテラシーに関して発生しうるトラブル(インシデント)を、▽情報モラル▽情報セキュリティー▽消費者トラブル——の三つに分類し、37項目に整理しています。一覧化されているので、トラブル別に項目が探しやすくなっています。

年代・立場別に啓発目標

二つ目は、世代や立場に対応した啓発の留意点を挙げたことです。(1)未就学児・小学1~4年生(2)小学5~6年生(3)中学生(4)高校生(5)大学・専門学校生(6)成人(一般:主に情報機器の取扱いに習熟した企業・団体等で働く社会人等)(7)成人(特に高齢者等:主に情報機器の取扱いに不慣れな高齢者)(8)保護者(9)教育関係者……と、啓発の対象者を細かく分類しています。

デジタルネーティブと呼ばれる世代と、ネットになじみの薄い世代では、使用する機器も違いますし、仕事でネットを使う人と、子育て中の保護者では、コミュニケーションの範囲は異なります。世代・立場ごとに留意すべき点を挙げたのも特徴です。
インシデントの一つである「デマ・フェイクニュースを発信すること」では、五つの啓発目標のレベルを設定。小学1~4年生ではレベル1「情報には正しいものと誤ったものがあることを知る」まで、小学5~6年生はレベル1に加え、レベル2「デマやフェイクニュースとは何かを知る」までが目指す目標です。中学生は、レベル3「情報の信頼性を吟味できる」まで。保護者や教育関係者はレベル4「情報の信頼性を吟味し、真偽が判断できない情報は拡散しない等、適切に対応できる」、レベル5「情報の取捨選択、真偽を見極める方法を教える」までが目標とされています。

また、デマやフェイクニュースを発信した際の罰則や関連する法令、参考となった事例も合わせて紹介しているため、啓発の根拠も入手できるのが特徴です。

新学習指導要領では、知識や技能だけでなく「何ができるようになるか」という活用力の育成が重視されます。この指南書が示す年齢・立場別の啓発目標は、学年や校種などにより情報モラルの授業を新年度からどう組み立てるか、カリキュラム・マネジメントの視点からも参考になりそうです。

(筆者:長尾康子)

株式会社 ラック 「情報リテラシー啓発のための羅針盤(コンパス)」
https://www.lac.co.jp/news/2019/03/01_press_01.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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