世帯主に万が一のことが起こった場合、備えは どのくらいできていますか?

子育てをしていく中で起こってほしくないのは、世帯主(=主な働き手)が亡くなってしまったり、重い病気にかかったりするリスクではないでしょうか。
共働き家庭が増えている中では、夫婦とも主な働き手だったり、主婦=女性とは限らなくなっている現実があるものの、主な働き手の収入が途絶えるリスクはどのご家庭にも存在します。

そこで今回は、「2018年度 生命保険に関する全国実態調査」(生命保険文化センター調べ)を用いて、世帯主が働けなくなるリスクに対して、どのくらいの保障が必要で、実際にはどの程度リスクに対応できているのかをご紹介します。

必要と考えている資金の25%程度しか死亡保障が準備できていない現実がある

まずは、「世帯主に万が一のことが起こった場合の経済的備え」に関する調査結果からご紹介していきます。

●世帯主に万が一のことが起こった場合の経済的備えは?
年間必要額 327万円
必要年数 16.7年
総額 5,558万円
世帯平均年収(税込) 604万円
(出典:2018年度 生命保険に関する全国実態調査)

世帯主に万が一のことが起こった場合、年間で327万円の生活費が必要というのが、この調査の平均値です。世帯主が亡くなったあとに、ひと月27万円くらいの生活費がかかると想定しているようです。
その結果、世帯主が亡くなったあとに必要な生活費の総額は5,558万円になります。
生活費の必要年数16.7年は、調査に回答した家庭において、お子さんが大学を卒業するまでに残されている年数の平均値と捉えればよいでしょう。

5,558万円が必要だと考えているのに対して、実際に世帯主のかたの普通死亡保険金額の平均は、1,406万円(全生保)とのこと。保険金だけでまかなうとした仮定すると、必要と考えている金額の25%程度しか、保障が確保されていない現実があるようです。
もちろん、5,558万円のすべてを生命保険で準備する必要はありません。世帯主が亡くなったあとは配偶者の収入で補う部分もありますし、遺族年金がもらえるケースも多いはずです。また貯蓄が多ければ、必要となる死亡保障額も減らせます。

たとえば世帯主が亡くなったあと、遺族年金がひと月12万円支給されたとします。この場合、遺族年金は総額で2,404万円(12万円×12か月×16.7年※)支給される計算になります。5,558万円から遺族年金額を差し引くと、3,154万円という金額が残ります。
さらに3,154万円からは、亡くなられた時点で保有している貯蓄や運用資産なども差し引けます。ただし、貯蓄はなるべく減らしたくないというかたも多いはずですから、3,154万円が確保すべき死亡保障のひとつの目安になります。

皆さまのご家庭の死亡保障額は、3,000万円台前半くらいは確保できていますか。かなり不足していますか?
※世帯主が亡くなった時点のお子さんの年齢によっては途中で減額される可能性もありますが、ここでは一律と仮定して計算

適切な死亡保障が得られていると、いざというときでも教育資金を確保できる

実際に家計診断をする中で、「死亡保障が足りてない」と感じるご家庭が増えています。保険の見直しブームが定着したことや、運用商品の比率を高める傾向が、「保障不足」を生んでいると、個人的には捉えています。
保険の見直しが合理的な選択であるご家庭もありますが、行き過ぎた見直しをしているご家庭も少なくないと感じています。中には、幼いお子さんがいて、稼ぎ手はひとりなのにもかかわらず、無保険のままのご家庭もあります。無保険というのは、リスクが高すぎる状態だという認識が必要でしょう。

幼いお子さんがいるご家庭で、世帯主が亡くなられたケースの家計診断をする機会もあります。世帯主が亡くなられたあとの生活設計を立てていく過程においては、奨学金に頼らずお子さんの教育資金を準備できるか、奨学金の利用が想定されるかは、「受け取った死亡保険金の金額」によって決まることが多い現実も存在しています。

たとえば、3,000万円から4,000万円くらいの死亡保障を確保していたご家庭の場合、高校から大学にかけての教育資金を保険金から取り分けたうえで、保険金の残りを生活費に振り分けていくプランを考えられます。一方で死亡保障額が少ないと、教育資金の取り分けができず、受け取った保険金はお葬式代などに充てたら、残りは数年で底を突くのではないかと感じるご家庭に何度もお会いしています。

以上のことを踏まえますと、今回の調査から求められる3,000万円台前半くらいの死亡保障額は、特に幼いお子さんを育てているご家庭では、平均的に確保しておきたい金額といえるでしょう。生命保険料の値上がりが話題になる機会もありますが、掛け捨てタイプの保険の保険料は長寿化の影響で値上がりをしていない事実も知っておきたいものです。

長寿化=死亡率の改善により、保険料を値上げしなくても、収支が見合うようになっています。その結果、掛け捨てタイプの保険の中には、保険料が値下がりしているものすらあるのです。ちなみに、幼いお子さんがいるご家庭が選択する保険は、定期保険、収入保障保険などの掛け捨て保険になります。

世帯主が就労不能になった場合、ひと月に必要な生活費は28万円

最後に調査からもうひとつ、「世帯主が就労不能となった場合の生活資金に対する経済的備え」のデータをご紹介します。
病気やケガが原因で、世帯主が就労不能状態になった場合に必要と考える生活費月額は、平均で28.0万円とのこと。ちなみに、前回(2015年度)の調査では、28.6万円、前々回(2012年度)は29.4万円が平均額になっています。調査のたびに、生活費の平均月額は下がってきているようです。

前出の世帯主が亡くなった場合の調査においては、ひと月に必要な生活費は27万円でした。2つの調査結果から言えるのは、死亡や病気に備えるときの生活費の平均額は27~28万円と考えるご家庭が多いことです。

プロフィール

畠中雅子

1963年東京都生まれ。1992年よりファイナンシャルプランナーになる。新聞・雑誌・インターネットなどに約20本のレギュラー執筆をもつほか、セミナー講師、講演、相談業務などをおこなう。二男一女の母。

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