AI時代に考えたい「世界の課題に目を向けられる」教育

人工知能(AI)などの技術革新が進んでいく中、これからの子どもたちには、物事を多面的・総合的に捉える学び方が大切です。そのヒントになるのが、国連の「持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development:ESD)」です。環境や国際理解など世界の課題に取り組み、身近な活動を行うことで、広い視野を育むことができます。

身近な取り組みから考える「ESD」

人類の活動で現代社会には、気候変動や資源の枯渇、生物の多様性の喪失など、さまざまな問題が起きています。ESDは、一人ひとりがそうした問題を自分のこととして考え、身近なところから取り組み、考え方や行動に変化をもたらすような学習をいいます。

この「持続可能な社会づくりの担い手の育成」は、ユネスコが中心となり、世界中で取り組まれています。日本では、全国で1,116校のユネスコスクールが推進拠点として、環境、防災、気候変動、国際理解などのテーマでESDを行っています。
ESDは教育機関だけでなく、企業や民間団体も取り組んでいます。スーパーマーケットが市民を対象に包装容器のリサイクルなどを通して環境や消費について考える講座を開催したり、NGOが地域で環境学習プログラムを展開したりしています。これも、ESDの一つです。学校がこうした活動とも連携していけば、地域で充実した活動や体験が可能になります。

たとえば、近くの川や湖の水をきれいに保つために「自然をよく知り、自分たちのものの使い方や暮らし方も考えなければいけない」と、子どもたちが話し合ったとしましょう。そこに環境保全に関わる地域の人や、近所のスーパーで働く人たちの声を聞くことができれば、より考えが深まるはずです。もしかしたら自分たちの考えと違った意見が聞けるかもしれませんし、世界規模で考えなくてはいけないことも出てくるでしょう。

「SDGs」で活動に目標感

子どもたちの考えに揺さぶりをかけ、思考を深められるESDですが、活動主体や内容が多岐にわたるため、その目的が漠然としたイメージで捉えられることも少なくありませんでした。
しかし、2015年より国連が提唱する「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」が広まってきたことで、ESDにも「目標設定がしやすくなった」「具体的なゴールが見えやすくなった」という声が聞かれます。

SDGsとは、国際社会が取り組むべき17の目標で、その中には「1 貧困をなくそう」「4 質の高い教育をみんなに」などの他、「14 海の豊かさを守ろう」「15 陸の豊かさも守ろう」などが含まれています。学校がESDに取り組む時、SDGsの何番を目指しての活動なのかを表明すれば、子どもたちは「何のために学んでいるのか」がわかりやすくなります。

SDGsは学校以外の分野や世界でも通用しますから、いろいろな団体と連携してESDを行う際の「共通言語」として役立つのです。子どもたちの課題発見・解決能力を育む教育として、ESDは改めて評価されていいのではないでしょうか。

(筆者:長尾康子)

※文部科学省 ESDポータルサイト
http://www.esd-jpnatcom.mext.go.jp/

※日本ユネスコ国内委員会「ESD(持続可能な開発のための教育)推進の手引」(改訂版)
http://www.mext.go.jp/unesco/004/1405507.htm

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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