日本初開催!日本代表選手が語る「国際情報オリンピック」とその魅力

2018年9月1日~8日、世界中の中等教育課程の生徒・学生が(日本では主に中高生・高専生)数理情報科学の問題解決能力を競う国際情報オリンピックがつくば市で開催されました。2020年度からは小学校で必修化され、すでに取り組みを始めている学校もあり、今後「プログラミング教育」は強化されていきます。そこで、日本代表の選手たちに、大会の感想や、プログラミングに興味をもったきっかけについて聞きました。

国際情報オリンピックとは?

国際情報オリンピック(IOI)とは、化学、生物学、物理、地学、地理、情報、数学の7つある科学オリンピックのうちの一つです。日本では主に高校生以下の生徒が参加できるプログラミングの競技会で、第30回を迎えた今回は、初めて日本で開催されました。
競技は個人選で、1日5時間で3問を解くことを計2日行ないます。
与えられた課題を解決するアルゴリズムを考案し、そのアルゴリズムの性能(効率や解の質)を競います。課題を解析し優れたアルゴリズムを設計するための高い数理的能力が要求されます。ただし、プログラムを解答として提出するため、考案したアルゴリズムを適切にプログラムとして実装する能力も必要となります。

「自分の作ったコード(命令)が動くのが楽しい!」

国際情報オリンピックに参加した日本代表の選手は、「小学生のとき、叔父がプログラムを書いて目の前で披露しくれ、自分で書いたコード(命令)が、映像となってパソコンの画面に出力され動くことに驚きと面白さを感じました」や、「中学1年の時は数学の数値計算をコンピュータでやること(例えば、「サイコロを20個くらい振ってそのうち何個で同じ目が出るか」の統計や、「ルート2や円周率」を求めるアルゴリズム)に興味があった」といった、プログラミング自体に興味関心を持ってプログラミング言語を学び、情報オリンピックへの準備に取り組んだ選手が多いようです。プログラミングに関心を持つきっかけとしては、「ゲームを作りたいと思って始めた」「パソコン研究部という部活に入部してはじめた」という身近なことを挙げた生徒もいました。

また、国際情報オリンピックは、国際的イベントでいろいろな国の代表選手との交流もできることから、「あまり交流は得意ではないものの、メキシコやナイジェリア、韓国の選手とカードゲームを通して話した」「外国の選手は母語が英語ではない国でも、英語が上手だった。自分ももっと英語のスキルを上げたい」とコミュニケーションの面でも大いに刺激を受けたようでした。

日本代表選手はメダル4個を獲得

今大会には87の国と地域から335名の過去最大の選手が参加し、日本からは4名の代表選手のほかに、IOIの公式記録や表彰の対象にはならないものの、国内予選の次点4名が特別参加選手として参加しました。日本代表選手4名は、金メダル1個、銀メダル1個、銅メダル2個を獲得という結果に、特別参加選手は金メダル相当が一人、銀メダル相当が二人、銅メダル相当が一人でした。
この結果について感想を聞いてみると、金メダルを獲得した選手は「嬉しいです」と率直な感想をくれた一方、銅メダルを獲得した選手は、「同じ学校から参加している後輩が金メダルだったので、来年こそは打倒したい!」と来年に向けて意欲をのぞかせました。

小学校でのプログラミング教育とは既存教科の中で「プログラミング的思考」を養うもの

グローバル化を迎え、大きく変化を迎えている社会の中では、今まで多くの人材が必要とされてきた生産や事務処理の仕事をロボットやAIなどに任せ、もっと複雑化する課題に対してよりよい解決方法を考え出せる人材が求められています。そこで必要とされているのが「プログラミング的思考」への理解です。
人間の「●●をしたい」という要望を機械に任せるプログラムの手順を作るのが「プログラミング」ですが、課題解決に向けてどう組み立てて対処するのか、論理的に考える「プログラミング的思考」を育むことを目標としているのが2020年度から小学校で必修化される「プログラミング教育」です。
プログラミング教育は、プログラミング言語やコーディング技術そのものを学ぶのではなく、国語や算数、社会などの教科にプログラミングの考え方を取り入れるというものです。プログラムを組めるかどうかではなく、プログラミングを体験する中で試行錯誤を繰り返し、「なぜうまくいかないのか?」「どうしたらうまくいくのか?」などの疑問を解決するための論理的思考力を身につけることを目的としているのです。
実際に、国際情報オリンピックの代表選手の中には「情報オリンピックの問題は、プログラミングの“実装”が重要な課題もありますが、解法の筋道を考えるのが重要な課題もあります。特に私は、解法の筋道が難しい問題において、解法が分かった時は、本当に嬉しくなります」といった、筋道の部分に焦点を当てて達成感を感じているという意見がありました。

2020年度以降は、小学校で始まるプログラミング教育を発展させ、中学・高校では、実際にプログラミングを行ったり実習の授業があったり、プログラミング教育が強化されていく予定です。

2020年に向けて、日本の教育が大きく変わろうとしています。今までは知識をたくさん持っていることがよいとされる時代でしたが、これからはその知識を使って何ができるのかが問われる時代になっていくのです。
ベネッセでも、この第30回国際情報オリンピックに協賛をすることで、将来、情報科学分野で活躍し、日本を支える人材育成への貢献を目指しています。
学校教材や通信教育教材の提供などプログラミング教育の支援にも力を入れているので、情報オリンピックやプログラミング教育が気になるというかたはぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

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