注目が高まるプログラミング教室とは?保護者はどう関わるべき?

2020年度から、小学校でプログラミング教育が必修化されます。これに伴って、習い事としても、プログラミングに注目が集まっています。
プログラミング教室ではどんな力が身につくのでしょうか?小学生向けプログラミング教室「プロスタキッズ」副代表の冨樫優太氏にうかがいました。

遊びながら、感覚的にプログラミング思考を養う

プログラミング教室にはいろいろありますが、ブロックを使ったゲームやロボットなどで遊びながら、感覚的に「プログラミング思考」「ものづくり」の感覚を養っていくところが増えています。

プログラミングは、基本的に次のような作業の繰り返しです。
1 コンピューターにやってほしいこと(ゴール・目標)を決める
2 そのゴールを達成するために、どのような指示・命令を組み合わせればいいのか考える
3 実際にプログラムを書き、コンピューターを動かしてみる
4 うまく動かなければ、その原因を考え、プログラムを修正する

たとえばゴールが「A町のB地点からC地点に移動する」だったとしても、正解はひとつではありません。最短距離を行ってもいいし、A町の景色の良いところをぐるっと回って行くのもいいし、上空を飛んで行ってもいいですね。ゴールに到達するプロセスには個性が出ますし、目的によっても変わってきます。

「アイデアを言葉にする」ことが第一歩

私たちの教室では、まず、子どもたちの「好きなこと」「やりたいこと」をアイデアシートに言葉や絵で目標を書いてもらうことから始めています。
「へびとたたかうゲーム」のイメージを迫力のある絵を使って表現する子、入院しているおじいさんのために「病気とたたかうゲーム」を考え、「病気をやっつけたら笑顔になる」様子を書いた子など、シートにはその子ならではのアイデアが表現されます。大事なのは、プログラミング言語以前に、頭の中にあるアイデアを日本語で表現することです。プログラミング言語も「言葉」ですから、日本語で表現できていないことを、プログラミングしようとしても難しいのです。

プログラミングを通して「国語力」もつく?

「お母さん、ご飯」などと単語だけでしゃべっていると国語力はつかないといいますが、実はこれはプログラミングにも通じます。
コンピューターにひとつの動きをさせるためには、たとえば「木にぶつかったら、右へ2つ進んでよけてから前へ進む」といった命令が必要で、「木」とか「右」といった単語だけでは動きません。複雑な動きを実現しようとすればするほど、様々な言葉が必要になってきます。
子どもたちにプログラミング教室までどうやって来たか尋ねると、最初のうちは「お母さんと来た」というようにあいまいに答える子が多いのですが、教室に通ってしばらくすると「お母さんと家を出て、バスでA駅まで来て、B駅で乗り換えて、C口から歩いてきた」などと、道筋を順を追っていえるようになります。

また、自分たちの作品を発表する「発表会」では、子どもたちの成長を実感します。プログラミングを学んで数ヶ月たつと「こんなものを作りたいと思いました」「でも、こんなところにつまずいてしまいました」「こんな工夫をして乗り越えました。特に気をつけたのはこの3点です」というふうに、言いたいことを論理的に組み立てて言えるようになるんですね。これは結果的に、国語力、表現力アップにもつながるのではないでしょうか。

算数、数学力に結びつく「間違いから学ぶ」力

プログラミングの良いところは、座標やマイナスの概念、ベクトルや数列などの数学的概念が感覚的に身につくこと。さらに良いのは、失敗から学ぶ「トライ&エラー」の感覚が身につくところだと思います。

ゴールに至るまでのプロセスは3つくらいあるけれど、とりあえず1をやってみよう、無理なら、次は2をやってみよう…と、手を止めずに様々な道筋を試しながら進んでいくことが、算数・数学には大切です。失敗しても、回り道をしても構わない。どこまでができて、どこに問題点があるかを明確にすることが大切なのです。算数が苦手な子は、問題点をあいまいにしたまま「どうせできない」と気持ちでストップをかけてしまっているケースが多いのですが、プログラミングを学ぶことで「一発では解けない、難問を解くほうがおもしろい」と思えるようになる子もたくさんいます。

保護者はどう関わるべき?

保護者のかたが、プログラミングを教えたり復習させたりする必要はありません。ただ、ふだんからお子さまが「何をしたいか」「それをどのように実現するのか」について、よく話を聞いてあげることが大切です。
たとえば「○ちゃんと遊びに行きたい」「でも宿題がある」なら、「早く宿題をしなさい」と指示をするのではなく、「宿題を終わらせて楽しく遊ぶためにはどうするか」をご本人が自分で考えて決められるようにすることが大事だと思います。そういったふだんの関わりが、プログラミング的思考につながります。

プログラミング教室を選ぶには?

もしお子さまがプログラミング教室に興味を持ったら、ぜひ体験教室に連れて行ってあげてください。それと同時に、ぜひ先生に「その教室で何を目指しているか」「子どもたちに身につけてほしいと思っている力」について質問していただくとよいですね。
これまでお話ししてきたとおり、プログラミングは「言語化」する作業でもあります。子どもたちのクリエイティブな力を真剣に育てようとしている教室であれば、先生一人ひとりが、教室の目標やカリキュラムの特徴について、自分の言葉で具体的に語れるのではないでしょうか。もちろん、「子ども自身が夢中になっているかどうか」が、何より大事だと思います。

2020年に小学校で必修化される「プログラミング教育」。総務省「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業認定され、そのカリキュラムが文部科学省認定校にも提供されている、今注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」。この「プロスタキッズ」代表が習の効果はもちろん、ツール選びや親が気をつけるべきことなど、大人が知りたい「プログラミング教育」のすべてを、子どもの成長の事例とともに、わかりやすく解説します。

プロフィール



1984年生まれ、大阪府出身。2017年、株式会社ケーイーシーに入社。2018年8月、「すべてのヒトに創るチカラを」をビジョンに、小学生向けのプログラミング教室を展開するプロスタキッズ副代表に就任。

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